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親が田舎出身だとマンションの購入権すらない…日本の親ガチャとはレベルが違う中国の「階層ガチャ」の実態

source : 提携メディア

genre : ニュース, 中国, 社会

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なぜ都市部の人は家を持てるのか

ほかにも、夫婦の1人が団体戸籍、もう1人が都市戸籍の場合など、戸籍によって購入できる条件が事細かに分かれている。これは本人には何の落ち度もない「出身地による差別」だが、現にこうした理不尽な問題があちこちで起きている。

逆に上海生まれ、上海育ちで上海の都市戸籍を持っている人は、不動産購入の点でも非常に有利な立場にある。中国人が不動産を購入できるようになったのは1990年代からで、それまで人々は単位と呼ばれる組織(企業や学校、団体などの勤務先のこと)から非常に安い家賃で住宅を支給されていた。不動産が民間に開放されるようになると、それを安く払い下げられ、1つ目の持ち家を持ったという経緯の人が多い。

中国の不動産は2000年代に右肩上がりで値上がりしたため、1軒目を転売して2軒目を持ち、財産を築いていった。このようにして、都市生まれの人々は不動産を数軒持っていることが当たり前になり、その子どもはそれを受け継ぐことができた。2020年に中国人民銀行が発表した都市部住民世帯を対象とした資産状況に関する調査では、住宅保有率は96%に達していたが、都市部に住む人々が不動産を持てた背景には、こうした理由がある。

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念願のマンションを目前にバブルが崩壊した

地方部出身のAさんのように、必死で働いて頭金をためる必要もないし、子どもは親が所有する不動産があるので、そこに住んで、給料もまるまる自分のために使うことができる。

このように、同じ都市部に住んでいる人々の不動産購入という点ひとつ取ってみても、その人のもともとの「階層」によって命運は大きく分かれている。現在、各地で発生している不動産問題は、マンションの建設中から住宅ローンの支払いが始まっているのにもかかわらず、マンション建設が遅々として進まず、不動産を喉から手が出るほど欲しいと思っている人たちの手に渡らないのではないか、という社会不安も引き起こしている。