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「今後の捜査に支障が出るから…」地裁判決は国の主張を丸呑みした

 妻の雅子さんは国(財務省)と佐川氏の責任を問うて2020年3月、裁判を起こした。真相解明が願いだったが、国は「認諾」という手段で裁判から離脱。佐川氏との裁判では一審で雅子さんが敗訴。佐川氏側は「公務員が公務を巡り行った行為の責任は国が取るので、公務員個人は賠償責任がない」という主張を繰り返すのみ。それも代理人の弁護士が語るだけだ。佐川氏本人は提訴から一度も法廷に出てくることなく、説明や謝罪を一切拒んでいる。

安倍晋三元首相

 俊夫さんは生前、改ざんをめぐる文書やメールを保存しファイルに整理していた。そのファイルを含む大量の資料を大阪地検特捜部の捜査に任意提出したことを当時の上司が雅子さんに認めた。雅子さんの弁護団はこれを「赤木ファイル」と名付け、改ざんの経緯を知る重要な証拠として国に提出を求めた。国は「あるともないとも言えない」と言い逃れをしていたが、裁判所に提出を促され2021年6月に開示した。これによって、決裁文書から安倍昭恵さんの名前がすべて消されたことなど、重要な新事実が明らかになった。

 雅子さんと弁護団はさらに、財務省が検察に任意提出した資料をすべて開示するよう求めた。ところが国は「将来の捜査への影響」を理由に再び、あるかないかも答えないと拒否。雅子さんはこれらの資料の開示を求める裁判を新たに起こすことになった。

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 ところが冒頭で記したように、14日の判決はまさかの全面敗訴。理由は国の主張を丸呑みして「今後の捜査に支障が出るから、資料が存在するかどうかも明らかにしなくていい」——。

14日の判決後、記者会見に臨む弁護士団(撮影:赤澤竜也氏)

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 現在配信中の「週刊文春電子版」では、森友問題について取材を続けるジャーナリストの相澤冬樹氏による9月13日と9月14日に大阪高裁と地裁で行われた2つの法廷のレポートを全文掲載している。

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