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「それじゃダメだ、降りろっ!」と怒鳴られて泣いた日も… 工事現場でユンボに乗りはじめた2児の母・Kaoriさんが直面した“保育園の壁”

「それじゃダメだ、降りろっ!」と怒鳴られて泣いた日も… 工事現場でユンボに乗りはじめた2児の母・Kaoriさんが直面した“保育園の壁”

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2023/10/14
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 教習などを受けずに一発試験で大型特殊免許を取ることをKaoriさんは「子育てしながらだと、その方法しか無かったから」と表現する。

「最初の試験の時は、ホイールローダーにどこから乗り込めばいいのかもわかりませんでした。なので試験官の人に『運転席にはどうやって行くんですか?』って聞くところから(笑)。そうやって試験のたびに試験官に教えてもらって、5回目で受かりました。ユンボの資格も取って例の運転手さんに報告したら、勤めていた会社を紹介してくれたんです。『ちょうど事務とユンボのできる子を探しているから面接するよ』ってことで話が進んで、すぐに採用してもらえました。ドラえもんって本当にいるんだなぁと思いましたね(笑)。初めてユンボに乗って仕事をしたときは運手席から見える風景が格別で感動しました」

 

工事現場は朝8時から、7時に保育園に預けても間に合わない

 その運転手の方もまさか本当に資格を取ってくるとは思わなかっただろうが、ちゃんと約束を守ってくれたのだ。

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「会社で最初に任されたのは、事務をしながら工事現場などで出た残土が運ばれてきたらユンボで土を整形したり動かしたりする仕事でした。ユンボの仕事は大きく分けると、残土を受け入れる“置き場”と、工事をしている“現場”の仕事に分けられます。私が最初にやったのは“置き場”で、ユンボにとっては初歩にあたる基本操作を練習するのにちょうどいい場所でした。いつか現場にも出たいと思っていましたが、現場は月曜から土曜まで週6で朝8時から夕方5時までというのが一般的なんです。でも保育園はどこも朝7時からなので現実的には無理でした」

 

 重機オペレーターの世界では置き場よりも現場が“上“だという暗黙の了解があるとKaoriさんは言う。しかし“初歩”の置き場であっても巨大な重機を扱うのは簡単ではなかった。

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