若者が深夜に集い、事件やトラブルに巻き込まれる問題が相次いでいる新宿歌舞伎町・通称“トー横”。警視庁は先月30日から今月15日にかけて、“トー横キッズ”の一斉補導を行った。補導されたのは、13歳~18歳のトー横キッズ42人。補導された子供のなかには、中学生が5人・高校生が29人いたという。
なぜ若者はトー横に居場所を求めるのか。トー横キッズ、そして彼らを犯罪に利用する非情な大人の実態に迫った記事を再公開する。(初出:文春オンライン 2023年5月17日掲載 年齢・肩書きは当時のまま)。
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「徳永は悪さをするために産まれてきたようなヤツでした。身長は170センチもないぐらいですが、体重130キロぐらいの巨漢で、いつもキャップを被っていました。
トー横にしか居場所を見いだせない、どうしようもない中年男が、トー横の中学生の少女たちをシャブ漬けにして、クスリを出汁にしてキメセクを繰り返していた。絵に描いたような“性的搾取”ですよ。被害者の少女は何人もいます」(トー横関係者)
警視庁は5月17日、トー横キッズの被害少年(18)に殴る蹴るの暴行を加え、車のトランクに監禁し、母親から身代金を奪ったとして、自称“トー横キッズのまとめ役”徳永晋太郎容疑者(38)ら4人を、監禁致傷などの疑いで逮捕したと発表した。少年とは、大麻や覚せい剤の売上金をめぐってトラブルとなり、犯行に及んだことが明らかになっている。
歌舞伎町関係者によると、徳永容疑者は「イベントオーガナイザー」を名乗り、有名ラッパーと歌舞伎町のクラブでイベントを開くこともあったようだ。トー横を出入りするようになったのは時期は不明だが、昨年の3月には姿が確認されており、昨秋ごろから大麻や大麻成分入りリキッド、覚せい剤などを子飼いのキッズたちに売り捌き、急激に勢力を拡大していたという。
トー横に違法薬物が蔓延「徳永が元凶で火付け役」
社会部記者によると「トー横では今年2月以降、急激に大麻が蔓延しており、キッズたちの逮捕や補導が相次ぐ深刻な事態に陥っていた」というが、その元凶で火付け役だったのが、徳永容疑者だと歌舞伎町関係者らは語る。
「徳永はもともと、薬物にどっぷり浸かった売人です。今年2月にもコカインの所持で逮捕されていました。色黒でふけていて50歳以上かと思ったので、報道で38歳とみてびっくりしました。
徳永はバックに反社がいるといつも臭わせていましたし、真偽は不明ですが、実際に某暴力団二次団体の企業舎弟だったという話もある。イベントは、薬物の客になるカモを見つけるために開いていたようです」
徳永の下には“子飼い”のトー横キッズたちがいた。
「少年たちに大麻やリキッドを売り渡すばかりか、彼らに薬物を転売させ、組織的な犯罪集団に仕立て上げようとしていた。トー横ではもともと市販薬のオーバードーズが流行っていましたが、徳永容疑者らによって一気に大麻が広まった。少年たち自身も売りさばくだけではなく、ほぼ全員が大麻かシャブ漬けになっていました。徳永がトー横に薬物を持ち込んだ張本人です」(同前)
被害は少年たちだけではなく、少女たちにも伝染していった。