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「なんなんだ、これは」の連続…あの“ダイヤモンド・プリンセス号”は大海原を行く"高級老人ホーム"だった

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また、船内で少し仕事もしたいという夫の希望で無制限高速Wi-Fi 4デバイス付きのプリンセスプレミアというカテゴリーで、極上サービスを受けられるとのことだったが、本当だった。

スペシャリティレストランは2回無料、アルコール類が1日15杯(1杯20ドル)まで無料で朝から飲んでも飲みきれない。プロカメラマンによる撮影と写真付き、チップ含む、などなど、さすがは“極上サービス付き”だけはあり、朝からシャンパン(スパークリングは15ドル、シャンパンは20ドル)で乾杯の朝シャン生活が始まった。ちなみに、私たちの航海の料金は、提供されるサービスが税金や手数料など込みで1人約22万円。一番リーズナブルな部屋なら約9万円だ。

1000日以上乗っているという人もいる

出航してすぐ気づいたことがある。それは、クルーズは飛行機よりずっと階層がはっきりしているこということだ。

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DP号の場合は、いつも身に着けていないとならない「メダリオン」というメダル型端末の色で、しっかりと階級が分かれていた。ネックレスやウオッチ型ベルト、バッジ型など、身に着けられるウェアラブル・デバイス。すべては非接触で、チェックインから始まり、船内の飲食物のオーダーや客室のドアの解錠などさまざまなサービスを利用することが可能だ。GPS搭載なので迷子になってもすぐ居場所はわかる。実際メダリオンを落とした夫は、位置情報ですぐに見つけることができた。

メダルの色が白の私たちは初心者クラス。2~3回乗ればゴールドメンバー……最後はエリートメンバーと呼ばれ、16回以上もしくは151泊以上乗船したものがブラックのバッジを身につける人になる。

サウナで会った老婆は、「何回乗ったかって? 数えきれないわね」と静かに言い、「あら、1000日以上乗っているという人も今回乗っていたわよね」と親しげに別の老婆に話しかけた。どうやら、船の中で船友ができるようだ。一度顔見知りになれば、自然と「次回ご一緒に」となる。クルーズの主のような存在のマダムがあちこちに潜んでいる。