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「なんなんだ、これは」の連続…あの“ダイヤモンド・プリンセス号”は大海原を行く"高級老人ホーム"だった

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2020年2月、新型コロナウイルスの集団感染が確認された大型客船「ダイヤモンド・プリンセス(DP)号」。あれから3年半、はたしてDP号はどうなったのか。女の欲望ラボ代表で女性生活アナリストの山本貴代さんが知人の誘いで体験した「九州と韓国を巡るショートクルーズ 」5泊6日の航海は「なんなんだ、これは!」の連続だった――。

筆者撮影 大型客船「ダイヤモンド・プリンセス号」 - 筆者撮影

あのダイヤモンド・プリンセス号は今

「クルーズへ行きましょうよ」

10年ほど前から、50代半ば(当時)のマダムに何度も誘われていた。その頃40代半ばだった私は、仕事も家族も置いて一週間以上、海の上なんて考えられなかった。心の中では、“クルーズは年寄りのもの、私にはまだ早い”と思っていた。だから、「そのうちにね」。そんなやりとりを何度かしているうちにコロナがやってきて、そして去っていった。

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「ねえ、クルーズへ行きましょうよ」

懲りずに、またそのマダムはお誘いくださった。国内で最初のコロナ患者が出たあのダイヤモンド・プリンセス(DP)号だ。「(船籍が)イギリスの船だから上品なのよ」。マダム65歳、私は58歳になっていた。

そろそろいいか。行けるうちに行っておいた方がいいのかも。コロナを経て、そんな気持ちになり、ハードルが高い気がしていたクルーズに足を踏み入れる決意をした。ちょうど結婚25年の銀婚式でもあったので、それを口実にしよう。よく考えたら、もう私もいい歳だ。夫も誘ってみることにした。以前、「僕はクルーズなんて絶対行かない」と言っていた夫だったが、ふたつ返事で「行く」と言う。私といい、夫といい、コロナは人々を行動的に変えたらしい。

というわけで、「横浜発着 シルバーウィーク 九州と韓国ショートクルーズ 6日間」である。

誘ってくださったマダムは、クルーズ初心者の友達も連れていくとのことで、「リーズナブルにね」と窓なしで船の端のほうにある部屋を選んでいたが、われわれは、せっかくだからと船の中央窓側デッキつきの部屋を希望したので部屋の階は分かれることになった。