『ブギウギ』が始まった。「ブギの女王・笠置シヅ子」をモデルにした「福来スズ子の一代記」。首の長い人形が歌い踊るオープニングが朝っぱらからコワいと評判ですが、私はこの『ブギウギ』に別の感慨を抱いている。

 笠置シヅ子を主役にしたテレビドラマは以前にもあった。同じNHKの連ドラで『わが歌ブギウギ』ちゅうのがありましてん。それ、後に東京やら大阪で何べんも舞台化されましてん(と、スズ子風大阪弁にしてみた)。テレビと舞台初演のシヅ子役は順みつき、再演舞台は真琴つばさ。両方とも宝塚歌劇団OG(元男役トップスター)が演じた。

 笠置シヅ子は「宝塚音楽歌劇学校」を受験して不合格になり、「松竹楽劇部生徒養成所」にほぼ押しかけるようにして合格し、松竹楽劇部(大阪松竹歌劇団→OSK日本歌劇団と名称が変わる)で舞台人として初舞台を踏んだ人である。松竹から生まれた人なのである。しかしテレビも舞台も元タカラジェンヌが笠置シヅ子役……笠置さんは宝塚を落とされてんねんぞ! ここは松竹系から主役を出すべきだろう! SKD(松竹歌劇団)はすでに解散して無くなっているがOSKはまだあるんだ。去年創立百周年記念公演もやってる現役の劇団なんだ。

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大阪松竹座 ©AFLO

 さてこの『ブギウギ』が決定した時に不安だったのは、主役の福来スズ子も、彼女がいた養成所や劇団まわりも、元とか現のタカラジェンヌが使われるのでは……ということだったが、フタを開けてみれば「宝塚歌劇系」の女優が(今のところたぶん)一人も出ていない……! そして梅丸少女歌劇団(USK)の男役トップスターには、OSKの現役男役スター翼和希がキャスティングされ、団員役にもOSKの現役劇団員が出てるし、後にソロ歌手になったスズ子のステージでバックダンサーとしても出てくる。公式XでもOSKについての丁寧なポストをしている。『ブギウギ』は、笠置シヅ子の出身歌劇団である松竹の存在を大事にしてくれているのである。当然な話ではあるが、今までこういう時、ほぼすべて宝塚に取られていたので、そういう意味で『ブギウギ』は「今までにないことが起こった!」のだ。そんなこと気にしてる人はほとんどいないだろうが。皆さん宝塚歌劇団だけじゃなくてOSK日本歌劇団もよろしく。

 宝塚とOSK、どう違うのか端的に説明すると、宝塚が「JRA東京競馬場」でOSKが「TCK大井競馬場」です。同じ競馬であるが現場で見ると感じるものがすごく違う……って、わかっていただけるだろうか。『ブギウギ』を機にOSKも注目されるといいなあ、と今回はOSKファンとして『ブギウギ』に目がクギヅケになる理由を述べてみました。

INFORMATION

『ブギウギ』
NHK 月~土 8:00~
https://www.nhk.jp/p/boogie/ts/NLPYVZYM29/