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《44人目のプロ野球選手誕生》超名門・大阪桐蔭で、10年間スター選手が出ず中学生から避けられる“異常事態” 監督も「僕らの目標は甲子園で勝つこと」と明言

《44人目のプロ野球選手誕生》超名門・大阪桐蔭で、10年間スター選手が出ず中学生から避けられる“異常事態” 監督も「僕らの目標は甲子園で勝つこと」と明言

2023/11/01
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 1年たりとも途切れることなくプロに選手を送り込みながら、所属球団でエース格に成長したり、主軸として活躍している選手はひとりもいない。

 既に青柳が現役を引退し、日本ハムを退団した高山は独立リーグでNPB復帰を目指して奮闘中。そして今オフには香月や正隨、仲三河が戦力外通告を受けている。

 春夏連覇を達成し、ふたりの高卒1位を生んだ根尾世代でも、藤原は打棒が振るわず、野手として期待されていた根尾も立浪和義監督の意向で投手専任となり、今季は2試合に先発しただけでいまだ白星をあげられていない。また、早稲田大学を経て2位でDeNA入りした徳山も、2シーズンを過ごして一軍登板機会はゼロだ。

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 光明がないわけではない。入団から2度の育成落ちを経験しながらその度に支配下に返り咲いて今季は16試合に先発した巨人の横川や、日本シリーズの第1戦でスタメン出場したオリックスの池田は成長著しいものがある。それでも中田や森の実績や知名度には遠く及ばない。

前田の1位指名を喜ぶチームメイトたち

「プロで活躍するためにあえて大阪桐蔭を選ばない」選手も

 一方、目立っているのが大学に進学したOBたちだ。東京六大学はもちろん、戦国東都の青山学院大学や中央大、東洋大、國學院大などもスタメンにOBが名を連ねている。今年のドラフトで巨人に指名されたNTT西日本の泉口友汰(18年卒)も、大学時代は青山学院でプレーした選手だ。

 今年卒業したOBの進路を見ても、慶應義塾大、立教大、青山学院大、中央大、駒澤大、國學院大、日本体育大、関西大、同志社大など名門ばかり。昨年のドラフトで指名漏れした選手たちも、川原嗣貴がHonda鈴鹿、海老根優大はSUBARUと社会人に進んで野球を続けている。

西谷浩一監督も「僕らの目標は甲子園で勝つこと」と明言 ©文藝春秋

 こうした状況に、プロを目指す有望中学生の進路選択にも小さくない影響・異変が起き始めている。関西で活動する中学生の強豪硬式野球チームの指導者がこんなことを話していた。

「高校からプロ入りすることを現実的に夢見ている中学生は、当然、大阪桐蔭OBのプロでの実績を注視している。成功した選手が少ないことで、プロで活躍するためにあえて大阪桐蔭を選ばないという選手も増えてきている」

 確かに、今春のボーイズリーグ全国大会で初めて日本一となった東海中央ボーイズに所属する選手5人に西谷監督が声をかけたところ、全員に断られたというエピソードは、この春先、高校野球関係者の間で大きな話題となっていて、筆者も記事にした。

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