ロサンゼルスで60年の歴史がある日系人アマチュア野球チーム「ガーデナ・ナイツ」を率いるピート・マッケラー氏は、日系人の野球文化を継承している一人。マッケラー氏は二刀流に期待をかける。
「大谷選手はハイレベルのメジャーリーグで、二刀流の難しさを今感じているのではないかと思います。まだ誰もやったことがないチャレンジですからね。ピッチングとヒッティング、両方にコミットメントして練習するのは大変なことだと思いますが、彼ならきっとやれると思います。チームメンバーはみな二刀流にエキサイトしていますよ」
「スター性があるので応援したくなってしまう」
地元の飲食店でも、今、客たちの話題となっているのは大谷選手だ。しかし、よく耳にする声は、日本人選手がメジャーリーグで活躍することの厳しさだという。アメリカのテレビ局から取材を受けるほどの大のドジャースファンとして知られる寿司店「Sushi Yoshi」のオーナー沢省三さんが言う。
「大谷選手が入団したので、今年はエンゼルスに“浮気”してしまうかもしれません(笑)。多くの日本人選手が来米しましたが、大谷選手はこれまでの選手と比べても好感度が高く、スター性もあるので応援したくなってしまうのです。すでにファンクラブもできたと聞いています。
今はまだ成績が振るわないためか、4月、5月の様子を見て、活躍し始めたら6月は試合を観に行こうかなと考えているお客さんが多いですね。しかし、以前、エンゼルスにいた松井秀喜選手も今ひとつ活躍できなかったことを考えると、1年目は、大谷選手にとって試練の年になるかもしれません」
店内スクリーンで野球中継を流しているリトル・トーキョーの寿司店「ミツル スシ&グリル」でもこんな声が聞かれた。
「メジャーリーグは厳しい世界です。大谷選手が一流選手ばかりを集めているヤンキースに入団するのは、今回はまず難しいと思っていましたが、いつか入団できるよう成長してほしいです」
地元紙スポーツ記者は「ピッチャーとしての実力の方がある」
今はまだ新天地に適応している段階で、その実力を十分に発揮できていない大谷選手だが、スポーツ記者らは彼に成長の素地を見出している。エンゼルスのあるオレンジ郡の日刊紙「オレンジ・カウンティー・レジスター」のジェフ・フレッチャー氏もそんなスポーツ記者の一人だ。
「大谷選手を評価するにはまだ時期尚早ですが、彼に才能があることは明らか。しかし、良くしていかなければならないところもあります。彼はピッチャーとしての実力の方があるように感じられます。ストライクゾーンのコントロールができる限り、いい結果を達成できるでしょう。球には力があるし、ブレーキングボールもいいと思います」
米国で最も権威のあるスポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド」(西海岸版)も、開幕特集号で、大谷選手をトラウト選手とともに表紙に掲載した。大谷選手への注目は開幕に向けて、日を追うごとに高まる一方だ。
そして、ファンの期待が集まるのは、7月12日にエンゼル・スタジアムで予定されているエンゼルスvs.マリナーズの一戦。大谷選手vs.イチロー選手という夢の日本人対決をみんな待望している。
頑張れ、大谷選手!
写真:飯塚真紀子