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日ハム記事のスクラップがやめられなくて35年続ける女性の、新たな開幕!

文春野球コラム ペナントレース2018

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35年間で170冊……蘇る名場面の数々

 戦友だからベタベタ会わなくても心で通じ合っている。そんな気持ちのまま、歳月が過ぎてしまっていた。で、そうか、文春野球コラムの開幕原稿で取り上げるのを口実に会いに行けばいいと考えついた。すごかったよ。会ってよかった。駅前のファミレスに10冊くらいスクラップ帳を持ってきてくれたんだけど、全部で170冊あるんだ。スタートの82年だけが勝ち試合のみで、83年からは全試合ある。新聞は学生時代は家で取っていた一般紙が中心、社会人になって以降は朝日、ニッカンを基本に据えつつ、道新スポーツも宅配で取り寄せている(関東では1日遅れの配達になる)。

 基本ルーティンはメンバー表と試合記事と順位表。どんなに記事が少ない日もこれだけは欠かさずスクラップされてるそうだ。当日、持ってきてくれたのは名場面集みたいな感じで、93年夏の西武戦3連勝&大沢親分怪気炎、同年秋の近鉄戦・白井一幸延長サヨナラホームラン、06年日本一の栄冠、07年田中幸雄2000本安打達成……、と目にするだけでとても僕は正気が保てない。スクラップは台紙に糊づけ派だ。別の流派としてはクリアファイルに入れる派があるが、台紙に糊づけ派の魅力は「ちょっと糊でデコボコしたりする味わい」と「欄外に手書き文字で思いをつづる」の2点ではないか。手作り感が素晴らしいのだ。

「今年は評論家予想が最悪のシーズンですけど、そういう年こそ選手の成長が楽しみっていうか、誰が出てくるのかワクワクします。今の選手だと賢介や鶴ちゃんのベテラン勢はもちろん好きですけど、わたりょ(渡邉諒)とか太田賢吾クンも応援しています。早く出てきてほしいです」

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 と言いながらしっかり宮西尚生のパーカーを羽織っているコユキさんだった。もちろん彼女は06年日本一の後も「次の優勝」「その次の優勝」までのプロセスを楽しみながら記録し続けている。今年は女子高生の彼女がスクラップを始めてから36回目のプロ野球開幕だ。きっと今年も胸を焦がしながら記事を切り貼りするに違いない。がんばろう、僕の戦友たち。野球で盛り上がろう。僕は見せてもらった93年夏の天王山、「親分 3タテ食いねぇ」(スポニチ)の見出しが気に入った。開幕は埼玉西武だってねぇ、そうかい3タテ食いねぇ、レアードの寿司食いねぇ。

93年夏の西武戦3連勝に「親分 3タテ食いねぇ」 ©えのきどいちろう

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