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悩み抜いた1カ月、阪神・島本浩也“幻のサイドスロー”の舞台裏

文春野球コラム オープン戦2018

2018/03/27
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実戦では一進一退……試練の1ヶ月

 迎えた今春初実戦も試練だった。2月12日の紅白戦に登板すると先頭・熊谷敬宥に対してストライクが入らず3ボールとなり「ほんまに上から投げたろうと思いました」と苦心。結局、北條史也にソロを浴びて2回1失点という結果でサイドスローでの“デビュー戦”は幕を閉じた。

 だが、翌13日に真っ暗だった視界に一筋の光が差し込んだ。室内練習場でキャッチボールを行った時に、動画で何度も目にしていた巨人・森福允彦を参考に、右足を二段モーション気味にひねるフォームを試すと、違和感が消えた。「自分の中で気持ちが前を向きました」。確かな手応えとともに、サイドスロー転身へ決意を固めた。

 対外試合で2戦連続無失点と好投してキャンプを締めくくった。だが“サイドの島本”は、ここから一進一退となる。3月6日のDeNA戦では、9回に中川大志に右中間へ2ランを浴びて1回2失点。10日の中日戦では6回1死一塁で登板すると、無失点で2つのアウトを奪って見せた。

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 そして、13日のヤクルト戦が一つの分岐点になった。4回1死一、二塁で先発・藤浪晋太郎を救援したものの、3安打を浴びて3失点。坂口智隆、青木宣親の左打者2人に対して連続で痛打されていた。

 翌日、甲子園球場での試合前練習で、上手投げでキャッチボールする背番号69の姿があった。

「昨日の試合後に香田さんにも伝えました。元に戻して、これからまたアピールしていこうと思います」

 悩みながらも、必死に導き出した「答え」だった。わずか1ヶ月で終わった“幻”のサイド転向は、回り道だったのか、それとも、進化した姿への“生みの苦しみ”になるのか。

遠藤礼(スポーツニッポン)

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