表現の幅が広がったCGとの融合
躍動感あふれるビジョン演出をリードしてきたオリックス球団。デジタル化の進んだ今では、キャンプ中に選手に協力してもらい、動きを撮影した映像にCGの効果を加えて、ストーリー性を持たせた演出映像を作るのが一般的になりましたが、象徴的なのが、スタメン発表時のビジターチームからバファローズのオーダー紹介に切り替わる際のトランジット映像。
私がアナウンスを担当していた9年間は、その手法の移行時期にあたりましたが、CGを駆使した作品に接した時は驚きました。中でも、球団のロゴマークやユニフォームが一新された2011年の映像では、選手にユニフォームという鎧を“装着”してロゴを溶接し、バファローズ戦士たちが強力なギアを身に纏っていく様子が、画面いっぱいに映し出されていました。
当時の担当者は言います。
「トランジットの映像って、今シーズン、うちの球団はこのように戦っていきますよ……というようなメッセージを、お客さまに示す意味合いが大きいですよね」と。
CGによって、アイデアを形にすることが容易になり、様々なシチュエーションを作り出せるようになりました。選手のカッコいい構えや表情を中心に組み立てる球団が多いなか、オリックスはいつもひと味違っていました。京セラドーム大阪でフェンスの色が変わった年は、球団のレジェンド、ロベルト・バルボンさんがペンキを撒いて色を乗せる感じを出してみたり、ある年は選手がカードゲームの登場人物になったり、ラインアートで描かれた大阪の街と選手がコラボする姿だったり……。
多くの楽しみを、観る人に届けてくれたそれらは、間違いなくその年ごとのバファローズのイメージやコンセプトを表現していました。
そして、今年もまた素敵な作品が生み出され、球場を盛り上げていますね。キャッチフレーズ「BRAVE SPIRIT」の文字が浮かび上がった、メタリックな蠢く物体。選手が動きとともに放つブルーとイエローのパウダー……。
おーっと! ここまでにしておきましょう。続きはぜひ球場へお越しいただき、ご自身の目で、心で感じ取って下さい。バファローズというチームが、今シーズンどんなメッセージを持って戦うのかということを。
なお、オリックス球団はインターネット上のファン向け映像コンテンツ「オリックス・バファローズ BsTV」で、メイキングの映像も公開しています。ここまでやるのが、オリックス流! YouTubeでも見られます。予習してから球場で完成されたものを味わう喜びを提供してくれる、ファンの楽しみを広げる取り組み。嬉しいですね。
※「文春野球コラム ペナントレース2018」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/-/6748でHITボタンを押してください。
この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。