2018年のプロ野球ペナントレース。バファローズは、残念なことにスロースタートとなっていますが、12球団の新人最速となる初先発初勝利を飾った田嶋大樹投手をはじめとした新戦力、サードユニフォームのリニューアル、場内アナウンサーなどの演出部分も装い新たなシーズン。ドキドキワクワク……といきたいものです。そんな中、やはり今年も!と期待を裏切らなかったのは、多方面で評価の高い「スタメン発表の映像」でした。あなたは、もうご覧になりましたか?
試合開始30分前のエンターテインメント
他球団のファンもうらやむ映像演出。シーズン中はそれを観るために、早めに球場入りするファンの方もいらっしゃったと聞きます。スタジアムアナウンサーをしていた私も、ホーム開幕の日は「今年はどんな作品だろう?」と思いながら球場に向かうのが楽しみでした。
新しい映像には、開幕当日の試合前にビジョン室でご対面。そこでは、喋り出しのポイントチェックと段取りの確認くらいで持ち場に戻ります。映像と音楽と声が組み合わされた完成形は、開幕戦のスタメン発表本番で球場内に表現されるもの。私たちスタッフも、ファンの皆さんと一緒にその一体感を味わいながら共有し、「おー!!」と気分を高めていたものです。
一歩先行く、オリックス球団の演出
今でこそ、場内のビジョン演出は必須アイテムになりましたが、早い段階からメジャーリーグの空気感を取り入れ、ボールパークのイズムをスタジアムに投入していたオリックス球団。
そのスタメン映像といえば、ブルーウェーブ時代の本拠地だった神戸の球場で、選手の動きを収めたVTRがビジョンに映し出されていました。他の球団ではまだ何の演出もない、あるいは、選手の写真に名前のテロップを入れて映し出す、スライドショーにとどまっていた時代です。
画期的と言えば画期的。しかし、その映像を得るためには、オープン戦の期間中にプレーしている選手の映像を収めなければ、開幕には間に合いません。当時、映像制作に参加していたスタッフは、「スタメンに入ってくる主力のメンバーは、オープン戦の後半にならないと試合に出てこないケースが多いし、打つシーンだけではなく守備の映像も残そうとすると、数少ないチャンスを逃さない集中力が要りましたね」と話していました。撮り方にもこだわり、「試合の中継カメラが撮らないような視点や角度で、その選手のいいところを撮ろうというのはありました」とも。
今は、CGなどと合わせて作り込まれた映像が主力ですが、VTRを編集・加工していた時代は、シーズンの途中でよりカッコいいプレーを収録し直し、選手によってはバージョン違いの映像が存在したりもしました。足繁く通っているファンには、その違いを楽しみにしておられた方がいらっしゃったかもしれませんね。