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苦い別れからの「復縁」に素直になれず……

 鶴岡選手は3試合中2試合でスタメンマスクを被り、その両方にファイターズは負けました。その試合で鶴岡選手が何か思うように遠くを見つめている姿を見た時、ハッとしました。古巣復帰を一番戸惑っていたのは本人だったんじゃないか。プレッシャーに至っては計り知れないんじゃないのか。その最たる場面が今や古巣となったこのホークス相手の試合だったんじゃないのか。そして、どうして私はそんなことすら慮ることが出来なかったんだろうか。この4年間、ずっと寂しさを引きずってきてたのに。毎日のようにホークスのスタメンも気にしながら4つの季節を過ごしていたのに。
昨年は出番が減ってスタメンは2試合、このオフはどうなるだろうと気にしていたのに。だから飛び上がるほど復帰は嬉しかった筈なのに、それまでの常識や立場だけで素直に表現できないでいたのです。ずいぶんつまらないファンになってしまっていたものです。やっと靄が晴れました。

 鶴岡選手には、キャッチャーに限らず若い選手への影響力も多分に期待されるでしょう。でも個人的には他のキャッチャーとどんどん競り合ってもらってまだまだスタメンマスクをかぶってほしい!

3年目・横尾俊建の肩をポンと叩く鶴岡慎也

サファテにもらった誕生日プレゼント

 先日、福岡で37歳の誕生日を迎えた鶴岡選手にホークスのサファテ投手からプレゼントが届けられました。袋からちょっと透けて見えたのはどうやらプロテイン? 新たに来季から3年契約を結んだ同い年の友人からの「ツルチャンモ アト サンネンハ ヤロウゼ」というメッセージに感じました。

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 FAで選手が元のチームに戻ったのは史上初、ということは、ファイターズファンはプロ野球ファンとして初めての経験をしたことになります。苦い別れを経験して強くなった私たちに訪れた「復縁」という新しい蜜。そこには別のところで生きた選手の歴史も受け入れるという懐の深さも要求されました。ひとつのチームを長く追いかける醍醐味をまたひとつ知ったのです。

 さて。私のように言いそびれていた方、他にもいたでしょうか??

 だとしたら、さ、一緒に言いましょうか。深呼吸して……

 鶴岡選手、おかえりなさい。わたしたちはあなたを待っていました。

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