走るために必要な筋肉が落ちてしまう危険も…?
B監督のチームは比較的早くから厚底カーボンシューズを活用していることもあり、他の大学よりも一歩進んでいる。
「練習内容によって厚底カーボンシューズを履いていいものと、履かないものに分けています。楽に進むシューズですので、走るために必要な筋肉が落ちてしまう危険もあると考えています。1年ほど前からは、股関節周りや仙腸関節周りを強化するようなトレーニングを入れるようになり、その箇所の故障は減りました。便利なものは何でもそうですけど、人間の使い方次第なんじゃないかなと思いますね」
早稲田大学は昨年の夏合宿で厚底カーボンシューズの使用を禁止。脚を鍛えることをコンセプトに強化して、学生駅伝で結果を残した。
男子マラソンの世界記録保持者でオリンピックを連覇中のエリウド・キプチョゲ(ケニア)は標高2100mのエルドレットでトレーニングを積んでおり、アスファルトの練習は月に1回程度。路面が硬いところではほとんど走らないという。もっとも走る時期でも走行距離は1週間で200~250kmだ。週に2回は室内で約2時間のワークアウトもこなす。スピード練習は厚底カーボンシューズを使用しているが、他の練習は別のモデルを3種類ほど使い分けているという。
日本人選手も“史上最強ランナー〞と同じように練習では厚底カーボンシューズに頼らず、ゴールまでシューズの性能を発揮できるようなフィジカルトレーニングを取り入れるようになっている。