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箱根駅伝の裏側

走るために必要な筋肉が落ちる? ケガが増える? 箱根駅伝を“一変”させた“諸刃の剣”「速すぎる厚底カーボンシューズ」の現実

走るために必要な筋肉が落ちる? ケガが増える? 箱根駅伝を“一変”させた“諸刃の剣”「速すぎる厚底カーボンシューズ」の現実

『箱根駅伝は誰のものか』 #1

2024/01/02
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 1920年に第1回大会が開催され、2024年が100回目となる箱根駅伝。誕生から1世紀が過ぎる中、近年では様々な変化もおこっている。

 そんな「国民的行事」の現在地について、『箱根駅伝は誰のものか』より、一部を抜粋して引用する。

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速すぎる厚底カーボンシューズの弊害

 従来のレースシューズと比べてソールが3倍ほど厚いカーボンプレート搭載シューズは、世界のマラソンシーンを劇的に変えるほどに速い。厚底カーボンシューズが“世界基準〞になった一方で、予期しなかったトラブルに見舞われている。

 もともとは着地時のダメージから脚を守り、終盤にペースを落とさないために開発されたモデルだったが、大腿骨や仙骨の疲労骨折など股関節周りのケガが続出。

 これは薄底シューズ時代(膝から下の故障が中心だった)にはほとんどなかったものだ。

 一体、何が起きているのか。

2023年10月14日、箱根駅伝予選会でスタートする選手たち(東京都立川市の陸上自衛隊立川駐屯地にて)©時事通信社

 着地時にカーボンプレートをしならせることで、プレートが元のかたちに戻るときに、反発力が生まれる。それがスピードにつながっているわけだが、レース終盤は疲労からカーボンプレートをしならせるのが難しくなる。