青学大が史上初となる2度目の3連覇を果たした第102回箱根駅伝。長年、選手のシューズを見てきた「EKIDEN NEWS」(@EKIDEN_News)の西本武司さんとポールさんは、今大会も全選手の着用シューズをチェック。そこから見えてきたシューズ最新事情をお届けする。
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箱根駅伝のシューズ分布だけでは分からないこと
最近はレース直後に様々なメディアが、選手の着用シューズを調べ、アップするようになりました。しかし、最初に読者の皆さんにお伝えしておきたいのは、箱根駅伝におけるシューズ分布が、メーカーやシューズの良し悪しに必ずしも直結してはいないということです。
箱根駅伝より、どちらかというと実業団の選手が走るニューイヤー駅伝のシューズ分布を見たほうが、現在のシューズを取り巻く状況を正確に把握できるんじゃないかと思っています。
最近、僕はこの話を自民党総裁選に例えています。
箱根駅伝でのシューズ着用率は、総裁選でいうと「議員票」のようなものです。箱根は学生スポーツなので、着用シューズはメーカーのマーケティング力や、大学の事情に影響を受けやすい。党内の事情や大人の思惑に左右されやすい議員票と似てますよね。
一方、ニューイヤー駅伝のシューズ着用率は「党員票」です。出場する選手は社会人で、それぞれの人生がかかっているので、学生よりシビアにシューズを選びます。世論や民意が反映されやすい党員票に似ています。
議員票だけで総裁選の趨勢を把握しようとしても見誤るのと同じように、箱根駅伝のシューズ分布だけを見て、シューズの傾向を分かった気になってはいけません。箱根だけでなく、ニューイヤーなど他の大会も抑えた上で、ようやく見えてくるものがある。あの麻生太郎氏も「民意を見ろ」と言ってましたよね。
……と、ここまでご理解いただけましたでしょうか? ただしこの記事では、例年通り箱根駅伝のシューズ分布を中心にお伝えします。やっぱり気になりますもんね。
では、まず前大会と今大会の着用シューズ内訳を見てみましょう。
トップはアディダス、第二党がアシックス…昨年からの変化は?
【前大会 第101回箱根駅伝 着用シューズ内訳】
・アディダス 76人(36.2%)
・アシックス 54人(25.7%)
・ナイキ 49人(23.3%)
・プーマ 25人(11.9%)
・On 3人(1.4%)
・ニューバランス 1人(0.5%)
・ブルックス 1人(0.5%)
・ミズノ 1人(0.5%)
続いて今大会の着用率はこうなりました。
【今大会 第102回箱根駅伝 着用シューズ内訳】
・アディダス 75人(35.7%)
・アシックス 60人(28.6%)
・ナイキ 35人(16.7%)
・プーマ 31人(14.8%)
・On 3人(1.4%)
・ニューバランス 3人(1.4%)
・ミズノ 2人(1.0%)
・HOKA 1人(0.5%)
※文末に出場全選手の着用シューズ一覧を掲載しています。
昨年に引き続き、トップはアディダス、第二党がアシックスでしたが、アシックスがアディダスに追り、4位のプーマが躍進し、3位のナイキを追い上げる、という結果になりました。
箱根以外に目を向けると、アシックスの伸びはさらに顕著で、昨年9月に開催された東京2025世界陸上では、トップがアシックス、2位がアディダスでした。
また、正確な統計は取れていませんが、今年のニューイヤー駅伝でのアシックス着用率はアディダスを超え、トップシェアでした。そして箱根駅伝ではわずか1%の着用率に留まっているミズノも、ニューイヤー駅伝では箱根より高めの支持を集めました。つまり、アディダスは箱根駅伝でこそ30%のシェアを誇りますが、民意は若干異なるということになります。
なぜ箱根駅伝のシェア率は独特なのか。それは各メーカーのマーケティング力によるものが大きい。それが箱根駅伝のシューズ分布の面白さなのです。では早速、各メーカーの戦略を紐解いていきましょう。




