先日、学生時代の友人と集まって花見をした時である。某メガバンクに勤めている友人が、「俺、昨日内示が出て、大阪に転勤になったんだよね」とぽつりと話した。その友人は今までも地方転勤は経験していたし、過去の転勤については、どちらかというと新天地で新生活を始めることに対してポジティブに捉えていたように見えた。年末の忘年会の席では、娘が可愛くてしょうがないという風に写真を見せてくれたその友人だが、4月からようやく保育園が見つかり、一昨年に都内にマンションを購入したこともあり、今回の転勤については、さすがにネガティブに受け止めていたようだった。
僕が勤めている会社も、人事異動の時期が差し迫ると俄かに慌ただしくなり、様々な噂が出ては消える。そして内示が出たら出たで、例え自分が異動対象にはならなかったとしても、自分や他人の業務がどうなるか、気になってしょうがない。僕は転職の経験はないが、多かれ少なかれどこの会社も似たようなものだろう。そしてプロ野球の世界も例外ではないのではないだろうか。
青天の霹靂の人事異動
2012年ドラフト3位で指名され、2013年から2017年までの一軍登板試合数112試合中、106試合に先発登板している井納翔一が、今年からリリーフに配置転換されている。先発部門の花形であり、エースの先発一課を目指して奮闘していたら、社内でも若干地味なイメージがある中継部門のリリーフ七課に回されてしまった。
もちろん、中継部門がいくら地味とはいえ当社にとって重要なのは分かっちゃいるんだが、入社以来先発部門で試行錯誤しながらも結果は残してきたという自負はある。一昨年は競合他社にヘッドハンティングされてバックレた奴はいるし、確かに若手も伸びてきているが、途中で息切れして長期休暇をもらってる有り様。そんな中、自分は現場を守り抜いてきたし、大体ラミレス部長は昨秋の重要なCS案件や日シリ案件のコンペで俺に口火を切れと任せてくれたじゃないか……とサラリーマンなら愚痴の一言も言いたくなる状況だろう。
一方、昨年のDeNA投手陣全体を見渡してみると、弱点は7回にあった。一昨年の16年シーズンではリリーフ陣はDeNAの強みだったが、16年シーズンで活躍した須田・田中・三上らは2017年シーズンでは軒並み成績を落とし、シーズン中急遽トレードで獲得したエスコバーがいなければ、日本シリーズ進出はおろかクライマックスシリーズ進出さえ危うかっただろう。
井納のリリーフ転向の話が表面化したのは開幕を控えた3月下旬だったが、実際にはドラフト1位で即戦力の先発投手として期待できる東を指名し、FAで野上亮磨の獲得を目指したことを考えると、高田GMの頭の中にはかなり早い段階から井納のリリーフ転向は視野に入っていたと思われる。
確かに先発投手の中から誰かリリーフに回すとなると、150キロ近くを記録するスピードボールに落差鋭いスプリットを持つ井納は非常に魅力的で、さらに昨年の日本シリーズでリリーフで好投した姿を見れば、井納に役割が回ってくるのはごく自然な流れともいえる。