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サラリーマンなら共感 中継ぎ転向したDeNA・井納翔一の苦闘

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/04/22
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サラリーマン井納翔一とファン

 4月1日。プロ入り初登板初先発で好投した京山が5回を投げ、6回は三上とリリーフ陣へバトンは渡されていく。6回裏が終わり、7回表に向けて横浜スタジアムのライトスタンドの下からリリーフカーに乗った背番号15を見つけたファンは、ウグイス嬢のコールを待ちきれず井納に声援を送っていた。そしてウグイス嬢がピッチャー井納とコールするとスタジアムは割れんばかりの歓声に包まれた。

 また、4月13日。登板が続いた守護神・山﨑康晃の代役として9回のマウンドに立ったのも井納であった。観客の多くは山﨑の登場を期待していたと思われるが、ウグイス嬢が井納をコール。スタンドは一瞬ざわつきはしたものの、すぐにスタジアムは山﨑がコールされた時と変わらないくらいの井納コールの大合唱に包まれた。

 ファンは分かっているのである。きっと井納は先発への未練があること。そして、その思いをそっと自らの胸に秘め、チーム事情を酌んでチームのためにリリーフとして力をふるおうとしていることを。

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 そんな井納に対して、リリーフ投手としての成功を少しでも後押ししたい、力になりたいと思っている。そんなファンは多いのではないだろうか。

 サラリーマンは時には、納得できない人事異動、配置転換、人事査定にコンチクショーと思うことだってある。プロ野球選手は個人事業主である一方、どこかサラリーマンと被る部分もある。井納だって、これから長いペナントレースを過ごす中で、抑えるばかりではなく、時には打たれる時だってあるだろう。手痛い一発を食らうことだってあるだろう。時にはやっぱり先発やりたいなぁと思うことだってあるかもしれない。でもそういうこと全部ひっくるめて、リリーフとしてマウンドに上がる井納を僕は応援したい。

 今、僕が一番声に出して応援したい選手。それが井納翔一なのである。

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