コロナ禍で瞬く間に社会に普及した「オンライン診療」。病院まで出向かなくて良いという利便性の高さから、AGA(Androgenetic Alopecia、男性型脱毛症)の治療も気軽に受けられるようになった。
しかし、業界随一のAGA治療実績を持つ銀座総合美容クリニック(銀クリ)によると「オンライン診療だけで薄毛治療を行なうと、満足のいく発毛効果が感じられない場合や、不安や後悔が残る可能性もある」のだという。時間を上手く活用しながら適切な治療効果を得て、薄毛を改善するためにはどうすれば良いのか? 銀クリに詳しく話を聞いた。
便利なオンライン診療に潜むデメリット
社会インフラの整備や規制緩和により、オンライン診療はここ数年で加速度的に普及した。患者は医療機関に足を運ぶ手間がなく時間の節約にもなるため、進行性の薄毛や抜け毛=AGAの治療現場でも活用されている例は多い。しかし、オンライン診療は必ずしも良いことばかりではない、と銀クリは言う。
「男性型脱毛症=AGAは、“症”とつくことからもお分かりいただけるかと思いますが、病気のひとつです。頭髪は個人差がありながらも平均で10万本ほど生えていて、それぞれの毛穴から生まれた毛髪は1か月にだいたい1センチくらい伸び、2~7年で寿命を迎えます。
寿命を終えた髪は1日に約100本程度抜け、同じ毛穴から約100本の髪が生え始めることで頭髪の総量が維持されているのですが、その“生え替わりサイクル”が乱れて成長が阻害されることで髪が薄くなっていくのがAGAです。どんな病気でもそうですが、治療を行なうにあたっては医師が患者さんの“正確な状態”をどれだけ多く情報として得られるかが重要です。
そのために重要なのが、問診・視診・触診の“三診”です。問診で患者さんの薄毛や抜け毛の状態がこれまでどのように変化してきたかや、健康状態、生活習慣などについて話を聞くとともに、視診で全体の毛量や薄毛部位の確認を行ないつつ専用のスコープやスキャナーを使って頭皮や毛髪の密度などを確認。触診では患者さんの頭髪を実際に触って、ボリューム感や髪の硬さなどを正確に把握します。可能であれば、初回の診療ではこれらをきちんと行ない、効果的な治療方針を患者さんと一緒に定めたいですね」
髪の成長は1カ月に1センチ程度ととても緩やかなため、治療の効果を見きわめるのにも数カ月の期間を必要とする。また、AGAの症状や治療効果は患者それぞれに異なり、順調に薄毛が改善される場合もあればなかなか発毛効果が見られないケースもある上、医薬品を用いた治療なので、薬による副作用が発生するリスクも当然ある。そのため治療を開始してからは、個人差を確認しつつ投薬のきめ細やかな調整や副作用の抑制が必要になるが、それらの精度も対面治療により高まる、と銀クリは解説する。
「AGAの主な原因は、髪の毛の成長を抑え寿命を短くする“悪玉男性ホルモン”=ジヒドロテストステロン(DHT)の影響によるものです。このホルモンは、テストステロンと呼ばれる男性ホルモンに“5αリダクターゼ”という酵素がはたらくことで作られます。
現在は、この過程にアプローチして悪玉男性ホルモンの作用を減らし、髪の毛の生え替わりサイクルを正常に近づけ、薄毛の進行を抑える治療薬があります。また、髪の毛を作り出す毛母細胞にアクセスして、細胞分裂を活発化し発毛を促す治療薬も用いられます。これらの投薬を最適化し、より効果的な治療を行うには、三診を定期的に行い頭皮や毛髪の状態を正確に把握し続けることが重要なのです」
対面とオンラインを使い分けるための“モデルプラン”
とはいえオンライン診療の利便性・効率性は、多忙な日々を過ごす患者の立場では魅力的だ。対面とオンラインを上手に使い分ける“モデルプラン”はあるのだろうか。
「私たちのクリニックではオンライン診療を何らかの形で経験した患者さんが全体の9割に上りますし、上手に利用しない手はありません。あくまで理想の一例ですが、初回は対面でしっかり“問診・視診・触診”を行い、その後、特に治療の経過確認が重要な6カ月間程度は月に1度ほど来院いただくのがいいと考えます。個人差はありますが、治療効果が目視や写真ではっきり分かるようになるのが約半年後であることが多いからです。経過が順調であれば、以降は対面とオンラインを組み合わせていくといいでしょう」
AGA治療は投薬を伴う長丁場だ。治療の途中で「生えない、効果が見えない、順調なのかわからない」と不安になる患者も多いはずだが、対面治療はメンタルケア面でも有効とのこと。
「患者さんの日々の心配を聞いてその都度解決策をアドバイスし、時に客観的なデータや写真などの事実を示す診察やカウンセリングは、いい結果を出すためにとても大切です。月1回の対面の診療なら、例えば比較的早期に髪が生えやすい部分を医師と患者さんで触って、『ほら、生えてきたでしょ』といった安心につながる対話もできる。
学生が勉強で分からないところを、その都度解決して学習を進めていけば学力が伸びやすいのと同じことです。当院では遠方にお住まいの方や海外赴任をされている方でも、対面診療が重要と理解の上、オンラインとうまく組み合わせて治療なさっているケースが少なくありません」(銀クリ)
考えてみれば、勉強でもスポーツの指導においても、オンラインとリアルでは情報の伝達密度やコーチング効果に大きな差があることは論をまたないだろう。
「オンラインより対面診療の方が、患者さんの“正確な情報”が多く得られることは揺るぎない事実です。問診は対面とオンラインでほぼ同様にできますが、視診だとオンラインで得られる情報量は対面の30~50%、触診に至っては0%になってしまいます。
だからこそ、どこのクリニックで治療を受けるかはとても重要です。AGA治療は比較的新しい治療法で、症状ごとのデータはそれぞれの医療機関で個別に蓄積されています。つまり、これまでに対面でどれだけの患者さんを診てきたかという実績が、そのまま知見の広さに直結するということです」
オンラインで診療を受けたい人こそ、対面診療の実績が豊富なクリニックを選ぶ必要があるのだ。なお、銀クリではこれまでに約185万人にAGA治療を行ない、知見や技術を積み重ねているという。
経験豊富なクリニックで、対面/オンライン診療の併用を
ちなみに、AGA治療を行うクリニックにはオンライン診療が主体のクリニックも多く、対面診療の際に追加・割増料金がかかるところも少なくない。施設側の都合で、できる限り対面診療を行わないというクリニックも中には散見される。
「当院は得られる情報の密度が高い対面診療に軸足を置いていますので、診療方法によって治療費が変わることはありませんし、治療を行なう側からするとできるだけ対面で症状を確認したいのが本音です。
ただし、AGAは進行性なので治療を早く始めるほど効果が高い。時間が取りにくい方は、まずはスキマ時間を活用したオンラインでも構わないので、早期に医療機関に相談しましょう。そして、理想では最初の6カ月は対面治療を主体にし、その後は対面とオンラインを併用して継続していくのが最短で高い効果が出る手法と考えます」(銀クリ)
AGA治療は継続することが重要な要素。対面診療とオンライン診療を上手に組み合わせて効率良く治療することも、患者にとっては大切だ。多くの情報が得られる対面診療を主軸に信念を持って適切な治療を行い、治療の進捗に合わせて投薬の内容や治療の方向性をていねいに調整していく──ということを長く行っているクリニックには、経験値と有益な情報が蓄積されている。早めに、経験豊富なクリニックを訪れたい。
INFORMATION
銀座総合美容クリニック
公式サイト:https://www.gincli.jp/
(東京院)東京都港区新橋1-9-5KDX新橋駅前ビル4~5階
(大阪院)大阪市北区曽根崎新地1-4-20桜橋IMビル15階
※診療時間(完全予約制)
月・火・木・金・土 11:00~20:00
日・祝 11:00~19:00
休診日:水曜日
料金:初月1000円、2カ月目以降は、AGA治療内服薬2000円~1万9250円(※保険外の自由診療)
相談・予約は東京・大阪共通のフリーダイヤル(0120・972・335)か、公式サイトから