ホンダの人気車種「N-BOX」で使用されている部品をめぐり、大手自動車部品メーカー「TOYO TIRE(トーヨータイヤ)」が、両社の契約で定められた管理基準から大幅に外れた数値のまま納入していた問題。1月19日、「週刊文春電子版」では「ホンダ『N-BOX』の部品『管理基準に満たない検査結果を隠して納品』トーヨータイヤに検査結果“不正報告”の疑い《現役社員が告発&内部資料入手》」と題した記事を配信した。

 当該部品は「トレーリングアームブッシュ」と呼ばれるものだ。

トーヨータイヤの清水社長(同社HPより)

「ゴム製の部品で車体底のタイヤ付近に使われています。段差を乗り越える時やアクセルやブレーキで車体が動く時に発生する揺れを抑制して乗り心地に作用します。設計通りでない場合、ただちに車体の故障や事故が発生するわけではありませんが、乗り心地が不安定になる可能性があります。また、想定より揺れを抑制できない場合、他の部品に作用して耐久性などに影響が出ることも考えられます」(自動車業界関係者) 

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「既に出荷されている『N-BOX』にも使用されている可能性があります」

 この部品はホンダの人気車種「N-BOX」に使用されている。昨年夏頃、ホンダは新型「N-BOX」発売にあたり、トーヨータイヤに同部品を発注。同社で部品の特性の計測を担当する実験部が発注を受けて検査を行ったところ、〈本部品は管理基準を満足していない〉という結果が出た。ところが、ホンダとの窓口になっている設計部はその事実を伏せた上で部品を納入してしまった——「週刊文春電子版」では、トーヨータイヤ現役社員のこうした告発を掲載した。

「管理基準を満足していない」とする実験部の測定結果

「2022年頃から管理基準に満たない部品は製造されており、既に出荷されている『N-BOX』にも使用されている可能性があります」(トーヨータイヤ現役社員)

 記事の公開後、トーヨータイヤの株価は急落。一時、ストップ安水準の前日比497円(19%)安の2062円という値をつけた。これは、2023年8月以来の安値。「N-BOX」は昨年だけでも23万台が販売されており、影響は大きいと見られる。