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 そういう経験があるからこそ、中学受験は親の戦争だぞ、子どもは親の希望する通りにやりたくないことでもやり遂げる能力があるか、私のように受験戦争たのすぃーーみたいにノリノリで受験勉強するぐらいのイカレ具合がないと上手くいかないのではないかと思います。結果として、受験そのものというより競争自体に適応できず潰れていく子も多数あり、そういう親ほど他の親と横のつながりで張り合ってきた手前、我が子の脱落を受け入れられず、本格的に親が発狂してしまうことになります。

 だいたい父親の稼ぎや転勤を仄めかしたり、突然親族が病気になったとか言い始めたり、文字通り引っ越しして人間関係をリセットして界隈から消える同学の子とかが出ますと、ああ脱落したんだなと思うわけです。我が子を名門私立中高一貫に入れる夢を絶たれ、満たされることのない承認欲求が逆回転して擦り切れるようにして界隈から消えていく母子。

 でもそれって子どもからすれば解放であり福音なんだろうけれども、その後の家庭関係がどこまで成立するのか心配になります。なんせ、その母親からすれば将来を嘱望した我が子が優秀ではないという現実を突き付けられて失意で住みなれた千代田区港区文京区湾岸から離れていくことになるわけですから。

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受験が上手くいったらSNSで我が子のリア充アピール

 教育ジャーナリストのおおたとしまささんが『中受離婚 夫婦を襲う中学受験クライシス』というガチモンのルポを書いてましたが、本当にそういう相談よく来るんですよ。私に相談してどうするんだと思うんですが、しかし、子どもの将来が輝かしいことを祈って突入したはずの中学受験が、実は親の承認欲求を満たせない結果になった瞬間に折れる夫婦が割といる。困ったものだなと思います。

 しかも、上手くいったら上手くいったで、今度は大学は東京大学に行くのだ、国公立医学部を目指すのだ、海外大学に学部から入って世界に飛躍するのだ、という感じの、割とエリート主義丸出しの話をしています。この野郎、調子に乗りやがって。

 Facebookで我が子自慢をしている母親たちは、子どもがカナダやオーストラリアにホームステイに行った、頑張れとか、どう見てもお前それマウントやろと思うわけですよ。閲覧できる基本データに、その母親は学歴を載せてない時点で「あっ、たいした学を修めてこなかった人なのね」と丸わかりでもありつつ、稼ぎの良い旦那を捕まえ、早熟的な遺伝子ガチャを運よく勝ち取った中年女性の承認欲求は、専業主婦で美容にカネを使いブランド物を手に入れおいしい料理の写真をアップし、そして、我が子が上手くいっているアピールをすることに尽きるのです。