見城徹 幻冬舎社長
「僕の想像ですが、安倍さんは報道ステーションやサンデーモーニングが気に食わないのでしょう。しかし、それとこれとは話が別だと思います」
『週刊文春』4月12日号
安倍首相はネット番組を高く評価している。昨年10月の総選挙直前には「AbemaTV」の見城氏が司会の番組「徹の部屋」に出演していた。しかし、番組で安倍首相を絶賛していた見城氏も、放送法改正は「無茶な構想」と疑問を示している。
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渡邉恒雄 読売新聞主筆
「首相がその気なら全面対決だ」
現代ビジネス 4月3日
安倍政権による放送法改正について、マスメディア関係者は一斉に強く反発している。首相に近いと言われている読売新聞も「政治的中立性の縛りを外せば、特定の党派色をむき出しにした番組が放送されかねない」(3月17日)、「番組の劣化と信頼失墜を招く」(3月25日)などと強い調子で批判を続けている。渡邉氏は「日テレが(政権に厳しい)テレ朝みたいになってもいいのか」とも発言したという(『週刊文春』4月12日号)。
放送法は太平洋戦争時、戦意高揚の政府宣伝にラジオが使われた反省から、1950年に制定されたもの。放送法改正が実現すれば、たとえば安倍政権を擁護し続けるDHCテレビのネット番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』が地上波で流れるようになるだろう。また、放送倫理・番組向上機構(BPO)もネット番組には権限が及ばないので、裏付け取材をしないまま沖縄の反基地運動を侮蔑的に取り上げてBPOに放送倫理違反や人権侵害を指摘された『ニュース女子』(制作はDHCテレビとボーイズ)のような番組も野放しになる。はたして安倍政権による「テレビ制圧計画」は成功するのか否か。その成り行きを注視したい。