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田嶋会長がすべきだったこと

 もし評価していないにも関わらず、ハリルホジッチ監督に何らプレッシャーを掛けていなかったとしたら首を傾げざるを得ない。敢えて言わせてもらえば、真の意味でサポートでもないと思う。高く評価して指揮官に全面的に任せていたならともかく、そのような状況ではなかったはず。積極的な評価ではない、もしくは、評価していないということであれば推移を見守るのではなく、代表チームへの積極的な関与が必要ではなかったか。技術委員長としてはサポートだけではない、何かアクションを起こすべきではなかったか。フィリップ・トゥルシエ時代のように、協会サイドが絶えずプレッシャーを与えることでうまくいったケースもあるのだから。

ロシアW杯アジア最終予選ではB組首位で本大会出場を決めた ©文藝春秋/佐貫直哉

 結局は、解任という決断を日本協会は下したわけである。

 その場合、田嶋会長はいかなる事情があるにせよ、現場を知る技術委員会でまずはリストアップさせるのがスジだった。ハリルホジッチ監督に対する評価を踏まえてどんなサッカーをすべきか、そのうえで緊急事態を乗り切るために誰に託すのか。

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 そして西野氏ではない誰かが指揮を執り、西野氏がハリルホジッチ監督のマネジメントを含めてワールドカップ後に技術委員の声を集めて総括する。委員長の責務としてロシア後のロードマップをしっかりと提示してほしいという思いもあった。

はっきり見えた日本サッカーの根本的な問題

 今回、技術委員長の代表監督就任から日本サッカーの根本的な問題がはっきりと見えてくる。

 評価体制の脆弱、ここに尽きる。

 日本サッカーのスタイルをつくれないのではなく、つくるための基盤が盤石ではないことをさらしてしまったようなものだ。

 今の日本サッカーを客観的かつ専門的かつ継続的に評価できる体制ができあがっていないということ。今回のことを踏まえて田嶋会長には技術委員会を抜本的に見直すことを真っ先に考えてもらいたい。きちんとロードマップを提示でき、きちんと評価できる技術委員会にしなければ日本サッカーに未来はない。

ロシアW杯初戦コロンビア戦は6月19日。残された時間は少ない ©文藝春秋/松本輝一

 最後に。

 経緯はどうあれ、就任した以上、西野監督には全精力を本番に注いでもらいたい。そして技術委員会はサポートのみならず、代表チームをしっかりと評価をしつつ次につなげていかなければならない。

 何はともあれ「評価なき評価」が今回のサプライズ解任を招いたことを、日本サッカー協会は重く、重く認識すべきである。