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不動産業界が「働き方改革」を恐れる意外な理由

続々竣工中の巨大なオフィスビル群を待ち受ける末路とは?

2018/04/17

コワーキングスペースは大人気だが、「ちょっと待てよ」

 さてコワーキングスペースはおかげさまで大人気だが、「ちょっと待てよ」である。大企業が社員にデスクを与えずに外に野放しにする「働き方改革」は、企業にとって広いオフィススペースは「いらない」ということになる。

 情報通信機器の進化で何も都心に出ていかなくとも自宅近くにコワーキングスペースがあればそこで仕事ができる。ひところサテライトオフィスが構想されて自宅近くで働くことが推奨されたがうまく普及しなかった。だが、各社が郊外に節約してチンケなオフィスを構えるのと違って、この豪華なコワーキングスペースが立川や武蔵小杉、船橋、大宮などに設置され、他社の社員とも交流ができるようになれば家の近くで十分ということにならないか。完璧にそろえられた情報機器やサービスを存分に使えるのだから、もはや都心までえっちらおっちら通勤する人の数は激減するかもしれない。

コワークスペースの拡大で企業は広いオフィスが不要になる ©iStock.com

「働き方改革」が不動産秩序を崩壊させる

 そう考えるとデベロッパーにとっては「働き方改革」は夜も眠れぬ脅威に化けるのだ。都心に誰も通ってこなくなる。つまり都心に用意した巨大なオフィススペースが必要なくなるということを意味するのだ。使い道がなくなった航空母艦ビルが巨大なダンスパーティー会場になってしまうかもしれないのだ。

 都心に通わなければこれまで通勤に使っていた莫大な時間から多くの勤労者が解放される。余った時間を自分の暮らす街ですごすようになると、これまでのベッドタウンの機能を求めて「駅から徒歩何分」と都心への利便性だけで選んでいた住宅の選択概念も大きく変化するかもしれない。あやや、今までのデベロッパーが作り上げてきた不動産秩序が崩壊するのだ。働き方改革恐るべし、なのだ。

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