「『カイロ大学声明』の作成に関わり国民を欺いたのは、知事としてふさわしくない、重大な問題行為です。私は、その行為に加担してしまったことを悔い、事実を明らかにするべく、手記を発表しました」
かつて都民ファーストの会東京都議団政務調査会事務総長も務めた、小池百合子都知事の“元側近”小島敏郎氏が4月17日、丸の内の日本外国特派員協会の会見に登壇し、こう語った。手記というのは、文藝春秋5月号に掲載された「小池百合子都知事 元側近の爆弾告発『私は学歴詐称工作に加担してしまった』」のことだ。
小池知事から「声明文の中身をどうしたらよいのか」とメールが
会見には海外はもちろん、日本の多くのメディアが詰めかけた。会場は記者たちの熱気に包まれていた。
小島氏が問題視しているのが、2020年6月9日の午後、駐日エジプト大使館のフェイスブックに掲載された「カイロ大学声明」の作成過程だ。当時、小池知事はカイロ大学卒業の経歴を巡って、都議会で厳しい追及を受けていた。その窮地を救ったのが、この「カイロ大学声明」だ。フェイスブックに掲載されるや事態は一気に沈静化し、すぐさま再選を目指して7月の都知事選に立候補することを表明したのだった。
実は声明が出る3日前の6月6日、小島氏は小池知事に呼び出されて相談を受けていた。そこで小島氏はカイロ大学から声明を出して貰ったらどうかと提案していた。すると翌日、小池知事から声明文の中身をどうしたらよいのかとメールが来たという。ただ小島氏はそれに対応しなかったため、小池知事は日本人の元ジャーナリストのA氏に声明文の作成を依頼し、原案を作ってもらったのだ。
明かされたメールの“現物”
今回の会見では、小池知事から小島氏に送られてきたメールの現物も初めて公開された。6月7日午前8時27分、「大学」という件名で、小池知事が小島氏に、
〈カイロ学長や関係政府当局から、どのような書類が必要か、確認お願いします。宛先はどうしますか? 大使宛て? 私宛? 内容は?ご教示下さい〉
と依頼していることがわかる。
そして6月7日午後2時6分、小池知事は樋口高顕都議(現・千代田区長)を通じて、A氏に声明文の作成を依頼。原案を受け取った翌日の8日午後8時34分、小池知事はA氏にメールで、後に駐日エジプト大使館のフェイスブックに載ることになる「カイロ大学声明」を送ったのである。
今年4月12日の定例記者会見で、小池都知事は「声明は大学当局が意思を持って出されたと認識している」と語った。だが小島氏が今回明かしたメールや、A氏とのやり取りを考えると、小池知事がカイロ大学声明の作成に積極的に関わっており、「大学当局が意思を持って出された」ものではないことは明白だ。
「なぜ隠蔽工作をしなければならなかったのか」
会見で小島氏はこう語っている。
「隠蔽工作に現職の知事が関わったことは重大な問題です。また、もし正式な手続きを経てカイロ大学を卒業しているのであれば、なぜ隠蔽工作をしなければならなかったのでしょう。なぜ声明文の内容をどうするのかを私やAさんに相談してきたのでしょう。それは『卒業していないから』――そう考えるのが相当ではないでしょうか」
19日の金曜日にはまた都知事の定例会見が開かれる。小池知事はこの“物証”に何と答えるのだろうか。
『文藝春秋』5月号(発売中)及び「文藝春秋 電子版」には、小島氏の手記「小池百合子都知事 元側近の爆弾告発」が全16ページにわたり掲載されている。
「私は学歴詐称工作に加担してしまった」小池百合子都知事 元側近の爆弾告発
【文藝春秋 目次】小池百合子都知事 元側近の爆弾告発 「私は学歴詐称工作に加担してしまった」小島敏郎/コロナワクチン後遺症 疑問に答える/昭和海軍に見る日本型エリート
2024年5月号
2024年4月10日 発売
1100円(税込)