警察が規制強化しても、いたちごっこ
若者にとってネットの世界は仮想現実ではなく、日常生活とつながる「拡張現実」だ。それゆえにまず内面の合う者同士がマッチングされ、外的要因は二の次だ。こうして不可解なカップルが誕生し、世にも奇妙な事件を起こすことが多い。
警察は新たなツールが登場するたびに規制を強化しているが、いたちごっこの感は拭えない。携帯会社も有害サイトへのアクセスを制限するフィルタリング・ソフトなどを開発しているが、それでもこぼれ落ちるSNSは無数に存在する。
その最たるものがユーチューブだ。小学生が将来なりたい職業にユーチューバーがランクインするなど、もはやユーチューブを見たことがない小学生は皆無だろう。
だが、ユーチューブには動画を見るほかにコメント機能がある。小学生は何が危険かなど分かっていないので、平気で自分の名前を書き込んだりする。いったんネットに書き込まれた情報は、必然的にネット全体に表示されることになる。そこにはどんな人種が潜んでいるかなど考えもしない。悪意ある犯罪者たちは、そこから本人のブログなどを特定したりするのだ。
最初からホテルへ行くことが前提になっていた
2017年秋、東京都内でこんな事件があった。ピコ太郎の影響を受け、「自分もネットアーティストとして、ひと花咲かせたい」と考えていた自称ミュージシャンの男(29)は、自分の動画にコメントしてきた中1少女(当時12)と知り合い、LINEのIDを交換してやり取りを始めた。
ネットで知り合った関係は、親しくなればなるほど実際に会いたいと思うようになるものだ。こうして2人は会うことになったが、最初からホテルへ行くことが前提になっていた。なぜなら、ネットのやり取りの中で、将来の結婚まで約束していたからだ。
それが少女の母親にバレてしまい、あっけなく終わりを迎え、男は強制性交容疑で逮捕された。少女の母親は「娘にねだられ、スマホを与えたのが悔やまれてならない」と述懐したが、そういう問題だろうか。
根本的な問題はネットではない。世の中には女に甘えることにおいて、天才的な男がいるということだ。
「オレのために援助交際してくれないか?」
例えば、生活保護を受けていた岐阜県在住の無職の男(42)は、親に対する不満をブログに書いていた女子高生(当時16)に接近し、自分のために金を稼ぐ売春婦に仕立て上げていた。
彼女をお姫様のように扱う一方で、常に「金がない」と繰り返し、「オレのために援助交際してくれないか?」と持ち掛けた。