ネットを通じて出会ってはいけない2人が出会ってしまう。特に児童買春の問題は、通信機器の発展とともに連動してきた歴史がある。
古くはテレホンクラブやツーショットダイヤルから始まり、携帯電話の普及とともに出会い系サイトが台頭。さらにスマートフォンの普及によって、チャットで交流することができるアプリやそのIDを交換するサイトが登場。SNSの利用者が爆発的に増えた。
確立されてきた出会いのパターン
私は、長年にわたって性犯罪の被害について取材している。先日、そのレポートを『男と女の性犯罪実録調書』として刊行した。そこで改めて実感するのが、性犯罪を取り巻く時代の変化だ。
最近はSNSで知り合い、LINEのIDを交換するのが一つのパターンとして確立されている。
2015年7月、大阪市中央区でこんな事件があった。別れた交際相手(24)の家に荷物を取りに行った女性(21)が、首などをメッタ刺しにされて殺されたというものだ。
2人を結び付けたのはSNS。加害者の男には当時、同棲している別の交際相手がいて、その交際相手ともども『サウンドホライズン』というロックバンドに傾倒していた。そのファンサイトを通じて知り合ったのが被害者の女性だった。
彼女は当時、まだ女子高生だったが、暴力的な父親と過干渉な母親に嫌気がさしており、ファンサイトを通じて知り合った男たちと次々と交際。そのうちの一人が大阪に転勤することになったため、それに付いて行くことになり、加害者のカップルとも“リア友”になった。
「あの人、ちょっとおかしい」
加害者の男はバイト先として自分が勤務する焼き鳥屋をあっせんし、毎日顔を合わせるようになると、簡単に男女の関係になった。そのことがお互いの同棲相手にバレることになり、そろって同棲を解消。2人は事件現場となるマンションに住むことになった。事件発生の1カ月前のことだ。
ところが、被害者の女性はSNSでは分からなかった男の本性を知ることになった。
「あの人、ちょっとおかしい。バイトのない日は一日中、部屋に閉じ込められてセックスさせられる。アンダーヘアを剃られたり、アフターピルを飲まされて毎回中出しされる」
こうした悩みを打ち明けられるのもSNSで知り合った元カレたちだった。被害者は直前まで付き合っていた元カレに復縁を求め、ペットのハムスターを返してもらいに行ったところ、犯罪の被害に遭ったのだ。