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「ジジイに売りつけてやる」無知につけこむ元詐欺師は炎上すれすれの“マルチ商法”を企てた

「ジジイに売りつけてやる」無知につけこむ元詐欺師は炎上すれすれの“マルチ商法”を企てた

source : 文春コミック

genre : エンタメ, 読書

note

「これは『詐欺』です」

 偶然、金貸しの交渉現場に居合わせた男の一言で、物腰柔らかだった金貸しの態度が豹変した。「余計なこと言うんじゃねえ‼」と胸倉を掴んできたのだ。しかし、男はとっさに金貸しの眉間に頭突きをお見舞いすると、こう言い放った。

「最後まで『良い人』を演じ続けろ。それが出来なきゃ、詐欺師失格だ」

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 金貸しは捨て台詞を吐いて退散。被害を未然に防いだ男は称賛される。ただ、当の男の心境は複雑だ。なぜなら、この男も詐欺師なのだから。

【マンガ】『詐欺師的異世界生活』1話を読む

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 現代日本で詐欺師だった男が異世界に転移し、詐欺の知識でのし上がる様が話題を呼んでいる『詐欺師的異世界生活』は、「小説家になろう」に掲載された叶ルルによる同名小説が原作だ。

 異世界転生・転移ファンタジーでは、現代で培った知識や技術が「チート能力」として描かれることがある。本作では、主人公・ツカサが持っている詐欺師の知識がそれにあたる。人心を掌握し、金を自分の元に集める詐欺師の手腕はどの世界でも通用するスキルといえるだろう。

 しかし、転移したツカサを保護してくれたのは商売が下手すぎる商店の父娘。このまま店がつぶれて路頭に迷えば、この世界に関して無知な自分は格好のカモにされてしまう……。ツカサは自身の詐欺師スキルを使って、商店を立て直すことを決意するのだ。その手法は現代日本では違法すれすれのこともある。

 

 例えば、借金を返済するためにブランド力皆無の剣100本を売らなければならなくなった時、ツカサは「新規顧客を紹介すると現金がキャッシュバックされるキャンペーン」を展開する。つまりマルチ商法の手口を真似たのだ。マルチ商法の性質上、常に顧客同士のトラブルや炎上のリスクを抱えている。しかし、ツカサはある単純な方法でこのトラブルを未然に防ぎ、見事在庫一掃を実現させるのだ。

 これで借金せずに経営が成り立つようになって一安心。と思いきや、この店ではまともな帳簿がつけられていないことや、棚卸が一度もされていないなど、現代の商売感覚では信じられない事実が次々と発覚していく。

 

 4月26日発売の単行本第1巻では、ツカサが詐欺師の知識を最大限活かして商店を救っていく様子が描かれている。“無双”といっても過言ではない元詐欺師の活躍ぶりをぜひその目で確かめてほしい。

「ジジイに売りつけてやる」無知につけこむ元詐欺師は炎上すれすれの“マルチ商法”を企てた

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