学校宛に「父親から性的虐待を受けている」という内容のメッセージを…
該当区の教育委員会に問い合わせをすると、「女子児童が転落死した案件については、日時を含め、公に伝えるべき内容がなく、特にお答えすることはありません」との回答だった。
東京都教育委員会は「一般論として、公立の小中学校で自殺が起きた場合は、市区町村の教育委員会を通じて情報が入ります。都教委としては、市区町村教委に求めに応じて指導・助言をしたり、心理職の派遣をすることがあります」としながらも、個別の案件については回答しなかった。
「虐待された子どもは、自殺関連行動のリスクが増加する」
性被害について詳しい、上智大学の齋藤梓准教授(臨床心理学)は、性被害がある場合、自殺リスクが高まると指摘する。
「虐待された子どもは、自殺関連行動のリスクが増加するという研究があります。男女問わず、一度でも被害経験のある人はリスクが高まる。2012年の調査では、大学生の場合、性被害経験がある女性は、ない人に比べて自殺関連のリスクが4.7倍、男性では9.76倍になるというデータもあります」
また、自殺予防教育について詳しい中央大学客員研究員の高橋聡美さんも、性的な虐待と自殺の相関についてこう話す。
「日本も含めて世界では男性の自殺者が多い国がほとんどですが、男女が逆転している国もあります。それは、人身売買や児童婚など性的搾取が激しい国が多いです。性的な被害は、女子が自殺に追い込まれる要因の1つと見て良いと思います。家庭内における性的な課題に関しては、家庭外からのサポートが必要だと思います。少なくとも、匿名でのLINE相談ではなく、実名で相談できる場が必要だと思います」
再発防止の観点から、次のように指摘する。
「被害者のプライバシーや友人への配慮をしつつも、再発防止のためにどのように情報共有するのか、この点を考えないといけません。関係部署でシェアし、同じようなことがあった場合、未然に防げるようにしていくことも必要です」