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事実上の“答弁拒否”、“取材拒否”

 恫喝を巡る双方の言い分は食い違ったまま対立が深まる。さらに市長が市の発展に欠かせないと位置づけた副市長人事。

 約4100人の応募から元商社社員の女性(34)を候補に選んだが議会は否決。市長は「議会と対立すると政策が通らないという脅しは本当だった」と受け止める。

 一方、あるベテラン議員はこんな言葉を漏らす。

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「わしは(同意)したいんじゃが、できんのよ。いろいろあるんよ、オキテが」

 タイトルの一部になった決め台詞。大した名役者が議会にもいたものだ。

 自分の訴えに議会が耳を貸さないとみるや、市長は“実力行使”に出る。議会で議員が何を質問しても「後で書面で公表します」。事実上の“答弁拒否”だ。

© 広島ホームテレビ

 さらに広島の地元紙・中国新聞の記事が不正確で内容に誤りがあると主張し、市長会見で同紙記者の“取材拒否”を打ち出す。これには他の報道機関からも「やりすぎだ」と批判が出た。

 筋が通らないことには従わない。子供時代から我が道を貫いてきたという石丸市長の舌鋒は鋭く、時にとげとげしさが際立つ。

「恥を知れ! 恥を」 「対話から逃げる卑怯者がいる」

 こういうことを内心で思ったとしても、少なくとも公の場ではそのまま口にしないのが“大人の態度”というものだろう。だが石丸市長は平然と口に出す。

© 広島ホームテレビ

 議会が気に入らないから答弁をしない。記事が気に入らないから取材に応じない。これでは“子供の喧嘩”だ。もっとも私自身、大人になり切れていないことを人一倍自覚しているので、偉そうなことを言えた義理ではないのだが…。

市長の手法すべてに賛同はできないが…

 こうした市長の言動は、良くも悪くもネットで注目を集めた。“つぶやき”には賛否双方の意見が盛んに飛び交う。

 私自身、現場で取材したわけではないが、映画で見る限り彼の手法のすべてに賛同するとは言い難い。

© 広島ホームテレビ

 だがこの映画は「石丸市政の是非」を問うものではないだろう。一番伝えたかったのは市長の以下の発言に代表されることではないか?

「政治家というものは公に議論をしなくちゃいけない」