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どんな葬儀でも最低20万円はかかる

では、人件費はどのくらいかかるのか。

火葬だけの葬儀でも、人件費の元になる労働時間は延べ15~25時間はどうしてもかかる。どこで亡くなったかや、自宅に遺体を火葬まで安置するかどうかによっても状況は変わってくるが、概ね20時間前後の時間がかかると言ってよい。

単価を1時間5000円で考えた場合、20時間で10万円となり、人件費だけで10万円を超えてしまう。これだけ見ても「火葬だけで10万円」は非常に困難であることがわかるだろう。

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つまり、最低20万円はないと、どんな簡素な葬儀でさえ行えないのだ。

それ以下をうたう業者の広告はほぼウソだと言っていい。

10万円以下の表示をしている業者すべてが、その値段で葬儀を請け負った実績が全くないとまでは言えないが、多くの場合表示価格では請け負っておらず、3~5倍の料金を請求していると考えたほうがいい。

仲介だけで半額近くを持っていく業者もいる

また、インターネット上には、自前の斎場を持ち、棺や生花などの手配をすべて行う「葬儀社」がある一方で、そうした葬儀社を紹介するだけの「ネット系仲介業者」が存在する。

厄介なのが、こうした紹介業者は多額の手数料を取る一方で、葬儀社と区別するのは非常に難しい。身内が亡くなってバタバタしている状態であればなおさらだろう。

下記に、とあるネット系葬儀紹介会社のプラン料金と手数料を提示する。図表1は、ネット系葬儀紹介会社から内部告発によって筆者のところに送られてきたものだ。

一番上の行を見ると、消費者が提示されるプラン金額20万9000円の中に、手数料だけで11万5000円が含まれていることがわかる。プラン料金の50%以上が、葬儀社を紹介するだけの「手数料」として仲介業者の利益になっているのだ。

葬儀を斡旋された葬儀社の手元にはわずか9万4000円しか残らない計算だ。ここから彼らは先述した棺やドライアイスなどの備品を調達しなければならない。そうすると、彼らの手元に残る利益は雀の涙どころか、赤字なのである。