高齢者の6割弱が夫婦のみ、もしくは一人で暮らしている現在、子々孫々継承することを前提としてきたお墓のあり方や、お墓に対する価値観そのものにも変化が現れている。散骨や樹木葬をはじめ、さまざまな選択肢がとれるようになったが、それぞれの方法にどのようなメリット・デメリットがあるのだろうか。
ここでは、雨宮処凛氏の著書『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社新書)の一部を抜粋。意外と知らない散骨、樹木葬の実情について紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)
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散骨のガイドライン
墓じまいが増える現在、お墓はいらないという人も増えている。
そんな中、希望としてよく聞くのが「散骨」だ。私自身もぼんやりと、「死んだら散骨がいいかなぁ……」なんて考えている。頼む相手がいないのが難点だが。
が、散骨って、勝手にやってもいいものなのだろうか? そんな疑問を抱える人は多いだろう。遠藤さん(編集部注:介護が必要な家族を持つ人々への支援を行う一般社団法人LMNの代表理事)は以前、散骨の会社で働いていた経験があるという。
「1年ほどいましたが、今のところ散骨は、許可など取らなくてもできます。ただ、ガイドラインみたいなものはあって、岸からこれだけ離れましょうとか、船に乗る時は喪服はダメですよ、というものがあります。これから海洋散骨に行くよというふうに見せちゃダメなんです」
喪服NGとは意外なルールだ。ちなみに岸からある程度離れなければならないのであれば、船を出さないといけないということか。
「関東だと、東京湾の桟橋から海洋散骨の船が出ています」
でも、船を出すなんて、かなりお金がかかりそうな気がするが。
「海洋散骨には3パターンあるんです。ひとつはクルーザーを貸し切る方法。日本全国だいたい一緒で、25万~30万円くらいです。あと合同と言って、2組か3組くらいが乗り合わせて散骨するとなるとだいたい1組15万円くらい。委託と言って全部お任せでやってもらう場合は5万~8万円です」
お墓を買うことやその後の維持、管理を考えると、散骨はコスパ面でも魅力的だ。