腐乱死体で発見されて迷惑をかけたくない。遺産が残った場合、残したい人がいる。残されるペットを引き取ってくれる人がいるかどうかが心配。スマホやパソコンが開かない場合、何か不具合はないのか——。少し想像しただけでも、自分が死んだ後の懸念は数多く浮かぶ。

 死後の心配を少しでも減らすためにできることはあるのか。ここでは、雨宮処凛氏の著書『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社新書)の一部を抜粋。介護が必要な家族を持つ人々への支援を行う一般社団法人LMNの遠藤さんの見解を紹介する。(全2回の1回目/続きを読む)

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自分の死後のスマホやパソコン

 LMNでは死後に関するサービスも提供しているということで、自分が死んだあとのスマホやパソコン関係について聞いてみた。

「困るのは、亡くなったあとにその人のスマホが開かないことです。パスコードがわかっていれば問題ないんですが、アイフォンは10回間違えると初期化されてしまいます(「Touch IDとパスコード」の「データを消去」をオンにしている場合)。私たちは特殊な業者さんと提携しているのですが、パスコードがわからない場合、アイフォンを開けるのには50万円くらいかかります」

 それは高い……。

「アンドロイドは何回もいけるので、10万円くらいで済みます。それを防ぐために、私たちは『デジタルキーパー』というサービスを始めました」

 どのようなものだろう?

©AFLO

「自分が亡くなった時、パスワードなどが指定する人に知らされるシステムがあればということで開発しました。月々330円で登録してもらうと、自分が亡くなった時、指定した人のもとにパスワードなどの情報が行くという仕組みです。全部クラウドでデジタル化しているので、私たちにもわからないようになっています」

 それによってスマホの解約だけでなく、ネットフリックスなどサブスクの解約もできるというわけである。ライフラインの解約も頼んでおきたいところだ。

「銀行の暗証番号もその方法で知らせることができます。今、セブン銀行などは通帳がなくアプリなので、口座があること自体、わからないんです。FXをやっていたり、仮想通貨を持っている人にとっても必要だと思います」