死後にクラッシュしてもらうには…
ちなみにアイフォンと比較して、パソコンを開くのはそこまで難しくないという。民間の業者に頼めば10万円かからず開くそうだ。3万~5万円で開けてくれるところもあるが、失敗の可能性がつきまとうようである。
ちなみにここまでのことであれば、各種契約の一覧表を作り、すべてのパスワードなども添えて家族や友人に「何かあった時はこれを活用して」とお願いしておくこともできる。信頼できる相手ということがもっとも重要だが。
一方、LMNにはスマホやパソコンを「開いてほしい」のではなく、「クラッシュしてほしい」という要望もあるという。
「自分が死んだら、中のデータを全部消してほしいという要望もあります。これは40万~50万円かかります」
スマホの方は問題ないけれど、パソコンはどうしてもクラッシュしてほしいなど、いろいろなケースがあるだろう。そりゃそうだ、人間だもの……。
孤独死での腐乱死体化を防ぐには
さて、このようなサービスを提供しているLMNだが、デジタルキーパー契約者には週に一度メールをすることで、「生存確認」をしているという。
「それに答えがない場合はアラートが鳴り、その人のもとに駆けつけます。亡くなったと確認できた時点で、指定された人に情報が行ったり、パソコンがクラッシュされたりします」
ちなみに私が単身の老後を思う時に気になるのは、自分が自宅で孤独死した場合のこと。連絡が取れないことを心配した友人たちが来てくれても、鍵が開かずに入れない時、どうすればいいのだろうか? せっかく友人というセーフティネットがあっても、最後の「鍵」という壁。
これに対してLMNでは、番号で開くキーボックスの中に合鍵を入れ、それをガスメーターの中に置いておくなどの方法を取っているという。これなら緊急の場合、中に入ることができる。これは友人間でも使えそうな技ではないか。
ちなみに上野千鶴子氏は、『最期まで在宅おひとりさまで機嫌よく』の中で、「おひとりさまライフのセキュリティとセーフティネットを考えるなら、自宅の合鍵を預ける人間関係を作っておくべきです」と書いている。これなら一円もかからずに「腐乱死体化」を防ぐことができる。