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話が終わると担任は、教室の長女の机の中を見せてくれました。プリントがぎっしり入っていて、牛乳のパックや文房具が詰め込まれています。

Aさんは、長女のためにもこのままではいけないと思うようになりました。

「掃除をしないぐらいじゃ離婚できません」

妻に対してはできる限りの改善を試みてきましたが、Aさん自身の心も体も限界を迎えていました。そこでもう離婚しかないと考えて、弁護士に相談に行きました。

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ところが、どこの弁護士も「掃除をしないぐらいじゃ離婚できませんよ」と言います。「あなたが片付ければいいじゃないですか」「娘さんが大きくなったら手伝ってくれるんじゃないですか」と笑った弁護士もいて、Aさんは「自分が悪いのか」とますます悩むようになってしまいました。

そうして数軒目の法律相談で、Aさんは私の事務所にいらっしゃいました。

Aさんは事情を説明した後、「どこに相談しても離婚はできないと言われたので、写真を撮ってみました」と言いました。

家の写真を見て、私は驚きました。いわゆる「ごみ屋敷」そのものだったのです。

驚愕の「ごみ屋敷」写真

床には足の踏み場がないほどごみが散乱しています。ペットボトル、惣菜のパック、紙くずやビニール袋、紙袋、脱いだ服……。壁の本棚や引き出しからも物が溢れて、雪崩のようになっています。窓のカーテンは半分ほどレールから外れていて、なぜか窓ガラスには段ボールが貼られています。

ごみに埋もれながらも、かろうじて顔を出しているソファには、妻が寝そべってスマホを見ている姿が写っていました。

Aさんは、自分が家事をすることは受け入れられても、それを超えて妻がむやみに散らかすこと、ごみを捨てようとすると怒ること、そして何よりも子どもがいじめを受けていることがつらいそうです。

Aさんが出勤前にごみ出しをすると、なぜか妻がごみ捨て場からごみを持って帰ってきて、中身をまたリビングに出してしまうこともよくあったそうです。