1ページ目から読む
5/6ページ目

苦労をなかなか理解してもらえない

この事例のように、片付けられない人と離婚したいというケースは数こそ多くありませんが、どの案件も忘れられないほど強く印象に残っています。

多くは、結婚する前は実家暮らしで部屋の様子がわからなかったり、部屋に行ったことがあってもそこまで汚くはなかったりして、片付けられない人とは知らずに結婚しています。

難しいのは、「配偶者が片付けられない人だ」と周囲に相談しても、苦労をなかなか理解してもらえない点です。

ADVERTISEMENT

インターネット上にも似た相談は多数ありますが、「あなたが掃除をすればいい」と、相談した人自身が責められるだけで終わってしまい、弁護士に相談に行っても同じようなことを言われます。

「ちょっと片付けが苦手」という程度ではなく、結婚生活が続けられないほど家を汚くしてしまう人は一定数います。家族が粘り強く改善を試みたり、治療を勧めたりしても、本人が拒否してしまうとどうにもなりません。Aさんの妻のように、片付けること、ごみを捨てることを頑なに拒む人もいます。

婚姻関係の破綻を立証できれば離婚が認められることも

こういった場合であっても、婚姻関係が破綻したことが立証できれば離婚を認められる場合もあります。そのときは、部屋の状態と、何度も注意しても改善がなかった点が立証できる証拠が必要になります。

証拠はとても大事です。単に「配偶者が片付けてくれない」と説明するよりも、写真を見せる方が、状況が伝わりやすくなり、説得力が各段に上がるためです。モラハラなどの場合も、証拠が全くない場合に比べて、度を越した暴言を繰り返している録音がある方が、離婚しやすくなります。

誤解されがちですが、調停においても、裁判と同じように、証拠の提出は可能です。写真は印刷した状態で、音声や録画は文字に起こした状態で提出することになります。そういった証拠があれば、いくら本人が否定しても、反論する証拠がない限り、その事実があったという前提で話が進みます。