それを無視してAさんが片づけて出かけても、帰宅すると元の通り散らかっています。
片づけについてもそんな調子なので、満足に掃除をすることができず、家はいつもほこりが舞っていました。リビングや台所には悪臭が漂っていて、虫が湧くこともあります。トイレもめったに流さないので、その臭いも強烈でした。
妻は風呂に入るのも嫌いで、長女もほとんど風呂に入れていません。夫が長女を風呂に入れようとすると、「風呂に入れると免疫が下がって体が弱くなる」と妻に怒鳴られることもありました。
周りに相談しても理解されない
もともときれい好きだったAさんですが、妻と結婚してから、咳が止まらなくなりました。「自分1人で掃除をするのも限界だから、少しだけでもやってほしい。せめてごみはごみ箱に捨ててほしい」と何度も頼みましたが、「私はちゃんとやっている」と取り合ってもらえません。
ネットで、「片付けられない病気」についての記事を読み、妻に精神科での治療を勧めたこともありましたが、その時も「私を病気扱いするのか」とひどく怒鳴られました。
学生時代の友人や会社の同僚にもたびたび相談しましたが、「自分で掃除すればいいじゃないか」「うちの妻も家事は苦手だよ」と笑われるだけなので、自分が我慢するしかないと思っていました。
風呂に入らず、片付けができない娘
そんなある日、長女の担任からAさんのところに、面談をしたいという連絡がありました。
学校に行くと、「長女が同級生からいじめのようなことをされている」と告げられました。
そして担任は、「非常に申し上げにくいのですが……」と言葉を濁しながら、「周りの子どもたちが娘さんのことを『臭い』と言っているのです。失礼ですが、お風呂にちゃんと入れているんでしょうか」と話しました。
「(長女のことを)『臭い』と言う子どもたちに対して注意はしているが、家庭でも気を付けてあげてほしい。お母さんには何度か伝えているが、あまり関心がなさそうなのでお父さんにも来てもらいました」と言うのです。