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 田﨑 私の小池さんに対する印象は、「人を信じない人」です。小池さんから「連絡がほしい」と言われて、私は携帯で小池事務所に電話しました。すると、小池さんは事務所の電話でコールバックしてきた。私の長い記者経験から言うと、こちらが携帯で連絡すれば、多くの政治家は携帯で連絡してきます。ですから、小池さんは携帯の番号を知られたくないのかなと思ったものです。

政治ジャーナリストの田﨑史郎氏 ©文藝春秋

 奥谷 悪気はないと思いますよ。ただ性格がドライで、先ほども言ったように、その場の「ノリ」で生きている人だから、一つひとつ物事を着実に進める人にとっては、ある日突然、彼女から梯子を外されたかのような感覚に陥る場面が出てきて、仲違いしてしまう。

  実際に小池さんが意図的に相手を裏切っている事例も多々あると思いますが。

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恩義、仁義から最も遠い人

 奥谷 彼女は恩義や仁義といった言葉から、最も遠い人です。そこを理解しないといけない。

 30年以上、小池さんと財界人を交えた読書会をやっています。オリックス元会長の宮内義彦さんや、トヨタ元社長の奥田碩さんなども参加していらした。食事をしながら課題の本について議論をするのですが、持ち回りで幹事役をやって、会場の手配や支払いをするんです。ところが、彼女は幹事役を一切やろうとしない。さすがに私が「あなた一回くらいやりなさいよ!」と言って、ようやく昨年、初めて幹事をしましたよ。彼女がやらなくても、周囲の男性陣は優しいから何も言わない。普通は「申し訳ない」とか、恩義を感じるものだけど、彼女は平然としているんですね。

 田﨑 奥谷さんは、そんな小池さんと、よく40年近くも交流を続けていますね(笑)。

 奥谷 それは小池さんに聞いてください。もともとは1980年代初頭に、私が人材派遣会社「ザ・アール」を設立した直後だったと思いますが、当時親しくしていたコスモ石油創業者の中山善郎さんから、「通訳を頑張っている女性がいるから会ってみないか」と紹介されたのが、まだ30代初めだった小池さんでした。彼女はエジプト留学から帰国しており、中山さんも「日本アラブ協会」の会員でしたからその縁で知り合いだったのでしょう。当時の彼女は、地味で野心の欠片もないような女性で、ハッキリ言って政治家になる感じではなかった。

本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(緊急座談会「カイロ大卒」 小池百合子都知事の真贋)。