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A氏を告発したことで叡敦さんはB氏から大声で叱責されたという。「お前、身内を訴えて、どうするんじゃ!」などと怒鳴られた上、「お不動さんのお慈悲なのだ」と言って、A氏の元に戻るように諭されたという。

叡敦さんは、仮に寺に戻っても強姦され続けると考え、寺に戻る条件としてA氏にたいして念書の作成を依頼。A氏は、手書き念書をしたためた(写真)。

そこには、「今後、異性行為はいたしません」「貴殿の関わられる人達が社会的に私の立場をあやうくしないことを宣誓願います」などと、自分に都合のよいことばかりが書かれていた。

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最終的にはA氏は、

「二度と貴殿の意思に反しての性行為や、人格を否定するような言動や暴力、そして恫喝などを繰り返さないことを誓約いたします(令和元年12月27日)」

との念書に署名、捺印した。それでも、A氏の性加害や恫喝は止むことはなく、相変わらず大阿闍梨B氏はA氏の擁護を続け、叡敦さんを苦しめ続けたという。

他の女性僧侶から性被害者への冷ややかな声が暗示する「闇の深さ」

叡敦さんは所属する天台宗に2人の懲戒を申し立てた後も、2次被害に苦しめられた。佐藤弁護士は憤る。

「今年2月以降、叡敦さんの元に他の宗派の尼僧を名乗る人物から、電話が3回ありました。『こんなことはやめろ、迷惑だ』と言われました。また、ネット上で叡敦さんを励ましたある尼僧さんのことを『売名だ』とも言っていました。告発するだけでもストレスを感じているのに、(仏教界)内部の尼僧の人から言われたことで、叡敦さんは自分のやったことが迷惑をかけているのではと悩んで、具合を悪くしました」

さらには今年4月の上旬には、別の人物と思われる尼僧が面会を求め、やはり、同様のことを言われたという。その尼僧は叡敦さんに直接、次のように言及した。

「コロナ禍によって宗教離れが加速しているのに、尼僧の世界にとってはほんとうに迷惑な話です。今すぐ申し立てを取り下げなさい」
「こんなことをしてもしかたないでしょ。世界中の尼僧が非常に困ることになることをよく考えなさい」
「弁護士を通じて和解しなさい。どこかお寺を与えてもらって話を収めるようにしなさい」