天台宗史上最悪の醜聞…高僧による尼僧への性加害
天台宗(総本山・比叡山延暦寺)の高僧による尼僧への性加害問題で、6月7日、同宗は被害を訴える尼僧から聴取を実施した。被害者の尼僧は、証拠となる音声データと加害者と交わした念書を提出した。
この問題は四国に自坊をもつ住職A氏が、尼僧を「マインドコントロール」し、14年間にわたって監禁、性暴行、恫喝などを続けていたとするもの。尼僧は複雑性PTSDを患い、現在も治療中だ。加害僧侶の師である高僧、大阿闍梨B氏も性加害を黙認していた。
宗門からの聴取を終えた尼僧は同日、京都市内で記者会見を開いた。会見では性加害を公にしてからたびたび、別の尼僧から「世界中の尼僧が非常に困っている。申し立てを取り下げるように」などの圧力を受けていることを明らかにした――。
事の経緯を改めて整理してみよう。
被害の申し立てと、2人の加害僧侶の僧籍剥奪を求めているのは50代の尼僧、叡敦(えいちょう)さん。上申書などによると、叡敦さんは2009年夏、遠縁にあたる大阿闍梨B氏から一番弟子のA氏を紹介された。それをきっかけに、A氏の叡敦さんに対するストーカー行為が始まった。
大阿闍梨B氏は、千日回峰行と呼ばれる難行を達成し「生き仏」と称される高僧(大僧正)である。師からの要請と圧力を拒めない立場の叡敦さんは、A氏によって寺に監禁状態にされた。そして、A氏による性加害や暴行、暴言を繰り返し受けることになった。
「私の言葉が仏の言葉であるように、Aの言葉は仏の言葉だ」などと大阿闍梨B氏から諭され続けた叡敦さんは14年もの間、逃げ出すことができない状態になった。叡敦さんは2023年冬にようやく救出され、天台宗にたいし、2人の僧籍剥奪の懲戒を求めて陳情書と、証拠書類を提出。この度、2度目の聴取が実施された。
以上のことは2024年3月5日配信の本コラム「尼僧を強姦し14年間監禁・性加害…住職に蛮行を促し尼僧を『ロボット玩具』にした80代“生き仏”の地獄の所業」にて、詳述した通りである。