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「防塵マスク越しでも鼻に突き刺さるとんでもない激臭」ゴミ屋敷をキレイにする上で避けられない「謎の液体の入ったペットボトル」の正体

『ごみ屋敷ワンダーランド』より #1

note

 これは、相当年月が経っている証だ。ごみが何層にも、地層のように積み上がっている。時間が経てば経つほど、ごみの状態は劣化し臭いもキツくなる。固まっているということはそれが確定した証拠。

「雪崩ろよ……」と、全員も固まった。

 そして、その層となったごみの中にちりばめられて挟まっている、ある物が目に入った。作業員全員が瞬時に理解し、ごみの山に背を向け天を仰ぐ。

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 そう、「尿ペ」だ。

 尿ペが、たっぷりレーズンパンのレーズンくらいの割合でちりばめられている。これにはさすがに、冗談好きの社員も口をつぐんでいる。

 しかし、もう蓋は開いてしまったのだ。やるしかない。

 ごみの方に振り向き、屈伸を一つして作業開始。

弧を描いてほとばしる尿

 頭の上まで積もっているごみを上から崩していく。

 ベースは弁当がら。その中にエロ本、酒瓶、服、生ごみ、尿ペが定期的に出てくる。ごみ屋敷の総合商社となっていた。最強レベルのごみ屋敷だ。

 底知れないごみ屋敷を前にひるんでいたが、こっちも完全防備で戦う準備はできている。全員がペースを上げる。

 と、社員が尿ペを持ち上げた瞬間、日光で劣化したペットボトルの蓋が砕けた。

「あっ!!!」

 ペースを上げていたのが仇となって、振り上げた手を止められない。そのままペットボトルに入っていた尿が飛び出し、弧を描いてその社員を包んだ。

 全員が彼を見つめる。

 野球漫画で敵にホームランを打たれた瞬間の、チームメイト全員の「あっ」顔のどアップのコマを想像してほしい。次の見開きページには、弧を描いた尿を浴びる社員の姿だ。

「大丈夫ですか?」と言う間もなく、防塵マスク越しでも鼻に突き刺さるとんでもない激臭。アンモニア臭に苦味を混ぜたような臭い。

写真はイメージ ©getty

 頭から浴びた社員が慌てて防護服を脱ごうとしている。うちで使っている防護服は、防塵性は高いが、防水性はそこまでない。防護服の下は自前の服なので、染み込んだら終わりだ。

「防塵マスク越しでも鼻に突き刺さるとんでもない激臭」ゴミ屋敷をキレイにする上で避けられない「謎の液体の入ったペットボトル」の正体

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