北海道旭川市の中学2年生だった廣瀬爽彩さんが壮絶なイジメを受けた末、行方不明になったのが2021年の2月13日。それから1か月以上が過ぎた3月23日、雪に覆われた公園で、爽彩さんは変わり果てた姿で見つかった。警察による検死の結果、死因は低体温症。失踪当日に亡くなった可能性が高いという。

 爽彩さんの死を受け、2022年9月に第三者委員会が最終報告書を市教育委員会に提出。イジメがあったことは認めたものの、イジメと爽彩さんの死には因果関係を認めなかった。この結果を遺族側が不服とし、同年12月から教育評論家の尾木直樹氏らを迎えた再調査委員会が検証を進めていた。

 そして、再調査から約1年半が経とうとする2024年6月30日。再調査委員会が記者会見を開き、結果を公表することがわかった。果たして真相は明らかになるのか。事件を風化させないためにも、当時の記事を再公開する(初出:2021年4月15日 年齢、肩書等は当時のまま)。

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 今年2月13日、自宅を飛び出して行方不明となった北海道・旭川市内に住む、当時中学2年生の廣瀬爽彩(さあや)さん(14)が、3月23日に雪に覆われた公園で、変わり果てた姿で見つかった。警察による検死の結果、死因は低体温症。爽彩さんは失踪当日に亡くなった可能性が高いという。

 これまで「文春オンライン」では、爽彩さんが壮絶なイジメの被害に遭っていた事実と、失踪前もPTSDと医師に診断され、その後遺症に悩まされていたことを報じた。2019年4月のY中学校入学当初から始まった先輩A子らによるイジメは陰湿かつ悪質なもので、爽彩さんは彼女らの前で自慰行為を強要されたり、撮影を強要された自身のわいせつ画像を彼女たちによって地元中学生らの参加するLINEグループに拡散されたりしていた。

※本記事では廣瀬爽彩さんの母親の許可を得た上で、爽彩さんの実名と写真を掲載しています。この件について、母親は「爽彩が14年間、頑張って生きてきた証を1人でも多くの方に知ってほしい。爽彩は簡単に死を選んだわけではありません。名前と写真を出すことで、爽彩がイジメと懸命に闘った現実を多くの人たちに知ってほしい」との強い意向をお持ちでした。編集部も、爽彩さんが受けた卑劣なイジメの実態を可能な限り事実に忠実なかたちで伝えるべきだと考え、実名と写真の掲載を決断しました。

川へ飛び込んだ事件で、警察も出動

 さらに取材を進めると、2019年6月22日に爽彩さんがA子ら10人近くに囲まれた挙げ句、4メートルの高さの土手を降りて、川へ飛び込んだ事件が起きていたことがわかった。この件では、警察も出動した。

飛び込み事件の現場となったウッペツ川 ©文藝春秋

 この“飛び込み事件”は、地元の情報誌「メディアあさひかわ」(2019年10月号)が報じている。

 記事は「自身の不適切な写真や動画を男子生徒によってSNSに拡散されたことを知った女子生徒が精神的に追い詰められ、橋から飛び降りて自殺未遂を図った」と伝えている。

 爽彩さんの母親の親族が説明する。

「記事は主犯格の人間を間違えていたり、事実と異なる部分もありますが、爽彩が川に飛び込んだことは事実です。現場は、彼女が過去に凄惨なイジメを受けた、小学校近くの児童公園の前を流れるウッペツ川でした」

廣瀬爽彩さん

 取材班も現場を訪れた。川沿いの遊歩道は柵で通行止めされており、乗り越えなければ川岸には近づけない。川岸の土手は川面から4メートルほどの高さがあり、コンクリートで舗装されている。ウッペツ川は、川幅3メートル、水深は1メートルほどの小さな川だ。近隣に住宅はあるが、人通りは少ない。