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 つまり「無派閥」を名乗る菅氏だが、自分が目をかける人間には派閥のリーダーのように振舞っていた。それが旧統一教会問題であぶり出された。これこそ菅氏の言う「派閥」の弊害そのものではなかったか?

 菅氏のブーメラン体質の究極は、野党時代(2009~2012年)のブログだ。次の記事をご覧いただきたい。

『「二人羽織」「お答えを差し控える」「思い出づくり内閣」 菅首相を襲う“ブーメラン発言”』(毎日新聞2020年12月20日)

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菅氏のブログを検証すると…

 この記事は、毎日新聞の記者と一緒に私が菅氏の過去ブログを検証したものだ。たとえば12年4月の投稿にこうあった。当時、野田政権下の田中直紀防衛相の国会答弁を批判したもの。 

〈答弁のたびに後ろに座る官僚の説明を受ける姿を「二人羽織」「千手観音」と揶揄される有様です〉

 そのあと首相となった菅氏は国会の予算委員会などで、後方の秘書官が菅首相に助言する様子がたびたび目撃されている。まさにブーメラン。

©文藝春秋

野党時代はキレキレだった

 そして注目すべきはこれ。菅氏は「お答えを差し控える」答弁を批判していたのだ。

〈「法務大臣は個別事案については答えを差し控える、法と根拠に基づいて適切にやっている、この二つだけ覚えておけば良い。この二つだけ言っておけば国会を乗り切れる」という旨の、全く不真面目で国民を冒涜する発言をしました〉

 首相となった菅氏が「お答えを差し控える」を連発していたのは記憶に新しい。つまり「全く不真面目で国民を冒涜」していたわけである。それにしても野党時代の菅氏のツッコミはキレキレだった。その指摘は全く正しい。

 菅氏は自民党全体への不信を党内政局にすり替えて岸田氏への怨念をぶつけている暇があるなら、まずは野党時代のご自分のブログを読んでみたらどうだろう? よっぽど政治改革につながると思うのです。