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「衣笠というのはどんな選手なんだ?」と自問
その年、スランプを脱したのはオールスター休みにお子さんを海水浴に連れていったときのことだった。そんな休日も野球が頭から離れない。海を見ながら「衣笠というのはどんな選手なんだ?」と自問していた。
「衣笠という選手はどんな選手なんだ。ハッと気づきました。『ブルブル振りまわして三振する反面、当たれば怖い』。何を今まで悩んできたんだろうと。大きな悩みを解決するのは一瞬なんですね。自分が歩いてきた道をみつけたとき、元に戻れました。『こんなもんで終わり?』と思ったくらい。3カ月間、そんなふうに考える時間、覚える時間があって、野球をやらせてもらっている、という心境の変化に行きつきました。ずっと野球をやるのか辞めるのかと突きつけられていたんです」
赤ヘルのレジェンド・衣笠祥雄はどんなときも思いきり野球をやった。豪快無比、明朗かっ達。その軌跡は本当にまぶしい。インタビューの最後になって、現役引退するとつまらない、本当は死ぬまで野球選手でいたかった、とおっしゃった。最高だ。胸がいっぱいになる。
衣笠さん、本当にありがとうございました。慎んでご冥福をお祈りいたします。