恋する男女の共感を呼んだ『恋愛マトリョシカガール』がついに完結します! 3巻に収録されているのは、「普通の女“で”いい」という30代こじらせ男子のやっかいな生態と、愛されたいけど愛されない自己肯定感が超低空飛行の女子高生のお話。
なんで自分だけ愛されないんだろう――。
一度でもそう思ったことのある人には必ず刺さる一冊です。
今回は山本白湯さんのインタビューと過去話を一挙再公開します。切なくて苦くて、でもやっぱりときめく、そんな恋愛ストーリーをぜひお楽しみください。
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素顔の自分で、愛されたい――。WEBメディア「cakes」で累計660万PVを超え、ハライチ・岩井勇気さんも推薦する大人気連載『恋愛マトリョシカガール』。ダメ恋に傷付いても、何度でも立ち上がる女子たちの恋愛を生々しく描き出し、多くの共感を呼んでいます。作者の山本白湯さんに、報われない関係や“破滅エンド”を描く理由、“自由競争の面がある”と語るご自身の恋愛経験についてお聞きしました。(全2回の1回目/続きを読む)
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『恋マト』を描くきっかけとなった「やさぐれ女・美央」
――『恋愛マトリョシカガール』(以下、『恋マト』)は、オムニバス形式でさまざまな恋愛が描かれていますが、どの恋愛もちょっと不穏な空気を漂わせています。これは、恋愛はいいことばかりではないという「警告」なのでしょうか。
山本白湯(以下、山本) 若い頃は恋愛で嫌な思いをしたことのほうが多かったので、そういう体験を漫画にできればと思いました。
相手に嫌なことをされてもそれを嫌だと言い返せず、「あれ?」と思うことがあっても黙って受け入れたり……。そういう嫌な思い出や、本当は言いたかったのに言えなかったことなどが形になったのが、『恋マト』を描くきっかけとなった「やさぐれ女 美央編」の主人公・美央でした。
――恋愛は自分の努力だけでうまくいくものではないので、実は「好きな人に好かれる」のって、すごく難しい部分もありますよね。
山本 そうですね。恋愛って、自分が頑張ったからといって必ずしも報われるわけではないですし、幸せになれるわけでもないと私は思っているので、私のマンガでは 「頑張ったから必ず幸せになる」というエピソードが少ないです。でも、悲しく終わらないエンドに寄せていくようには心がけています。
「破滅エンド」がしっくりくる
――「悲しく終わらないエンド」というのは、ハッピーエンドとはまた違うのですか?
山本 何をもって「ハッピーエンド」とするかというところもあるので、そこは一概には言えないです。それに、マンガでハッピーエンドにすることは簡単ですけど、実際の人生では死ぬまでハッピーエンドかどうかというのはわからないじゃないですか。死ぬ直前に大どんでん返しがあるかもしれないし。
なので、私としては「破滅エンド」の方が現実らしいというか、しっくりきて、ついそちらに寄せてしまうので、そうならないように気をつけています。多分「破滅エンド」が好きなんでしょうね(笑)。
――いわゆる「ハッピーエンド」よりも、「破滅エンド」の方が好きというのは、恋愛で嫌な思いをされてきたことが影響していますか?
山本 単純に、自分が「破滅エンド」が好きなんだと思います。王道系の恋愛モノを普段ほとんど観ないので、「正統派のラブロマンスを描いて」と言われても描けないと思います。アクション映画など、刺激の強い内容を好んで見ています。もしかしたら、こういうところが自分の作風に影響しているかもしれません。