斎藤元彦・兵庫県知事のパワハラやおねだり疑惑などを西播磨県民局長のX氏が告発した問題。7月7日にX氏が生家で遺体となって見つかるという最悪の展開を迎え、県政を大きく揺るがしている。
片山副知事がPCを押収
今年3月、「知事のパワハラは職員の限界を超え、あちこちから悲鳴が聞こえてくる」「知事の自宅には贈答品が山のように積まれている」など7項目にわたる疑惑が書かれた告発文書が、匿名で県関係者や報道機関に送付された。県はすぐに“犯人捜し”に乗り出した。
この問題を取材している「週刊文春」のO記者が解説する。
「告発文書が知事の目に留まったあとに、X氏が書いたものだと断定されました。その後3月25日に、兵庫県の片山副知事がX氏の務めていた西播磨県民局まで足を運んで、X氏の公用パソコンを押収したということです」
7月12日に辞職の意向を表明した片山副知事らが押収したX氏の公用PCには、告発文書のほか、X氏のプライベートにかかわる「秘密のデータ」も含まれていた。
驚くべきことに、4月ころから県の総務部長や産業労働部長が、X氏の極めて私的なデータを県職員や県議に見せて回っていたと、複数の県関係者が明かしている。
「産業労働部長から文章の内容を見せられた関係者は、『もしアイツ(X氏)が逆らったら、これの中身、ぶちまけたるねん』と、産業労働部長から強い言葉を聞かされたというふうに証言してくれました」(前出のO記者)
プライベートを利用し「脅迫」していた
だが、このX氏のプライベートな文章は、知事に対する一連の疑惑とは無関係なものだ。X氏のプライベートな文章を見せられた県関係者は、このように捉えているという。
「今回のX氏の告発文書と、X氏の私的な内容というのは、直接関係のない資料であるというような受け止め方をしていて、今回のX氏の告発の趣旨が変わるようなものではないというふうに聞いています」(同前)
告発とは無関係なプライベートなデータを利用し、知事の側近たちは何をしようとしていたのか。
「一言で言うと、今回のXさんの告発を握りつぶそうとしたのではないかというふうに見ております。Xさんが命を絶ってでも守りたかった秘密を暴露することによって、その人間性を貶めたり、告発文書の信頼性というのを下げたりするのが狙いじゃないのかと、今回の取材を通してみえてきました」(同前)
知事の側近たちが行っていたのは、X氏を脅迫し、またその人間性を貶めようとする卑劣な行為に他ならない。一連の疑惑に対して、県の幹部たちはどう答えたのか。担当記者が明かした解説動画は「週刊文春電子版」で見ることができる。
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