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秘密を知っている青年の登場で平穏な日々が崩壊の危機に
実家のことはひた隠しにしながら、心霊専門カウンセラーとして活躍する一華だったが、ある日突然クリニックに心霊探偵と名乗る青年・翠が現れる。強力な幽霊によって視える能力を奪われてしまったという彼は、その霊をどうにか探し出して能力を取り戻したいと言うのだ。
実家のことを周囲にバラすと半ば脅された一華は、やむを得ず翠に協力することに……。こうして、視えることを否定したくて臨床心理士になった一華と、視える能力を取り戻したい心霊探偵との世にも不思議でいびつな幽霊退治が始まる。
渋谷のスクランブル交差点に現れるおじさんの幽霊、山奥のトンネル、閉鎖した診療所に潜む最凶の幽霊……。クリニックに訪れる相談者からの話をもとに、もしかしたら翠の能力を奪った幽霊かもしれないと2人で現地へ行き、実証&除霊をしていく。
一華が心理学で真っ向から幽霊の存在を否定した後に、しっかりと霊障に見舞われる2人の物語は怖くもあり、くすっと笑えるコメディ要素もある。しっかり幽霊が退治されることも、ホラーが苦手な読者にとってはありがたい。
夏の風物詩の一つである怖い話。特に今年は猛暑続きだから、とんでもなく怖い話に浸って涼をとりたいところだ。かといって、あまりにも怖すぎると入浴中や就寝前のふとした瞬間に怖いシーンが蘇ってしまい“幻覚”が視えてしまうかもしれない。そんな怖がりなあなたにこそ、本書はピッタリな猛暑のお供だ。