徳洲会のドンとして君臨し続けた徳田氏。だが、13年に衆院議員だった次男の毅氏の公職選挙法違反に絡んだ「徳洲会事件」で親族や側近らが軒並み逮捕される。これを機に徳田氏は経営からも退いた。
「徳田氏が違法な選挙活動を事実上取り仕切ったことは間違いないが、ALSで療養中のため身柄の拘束及び公判を維持できないと判断され、不起訴処分となった」(同前)
病院王の侘しい晩年
そうして闘病生活を続けること20年余り。療養先は徳洲会グループが運営する湘南鎌倉総合病院の15階にある一泊5万5000円の「特別個室」だった。石井氏が続ける。
「発症した当初は、少しでも進行を遅らせようと、ナースが6人ぐらいついて体全体の筋肉をほぐすマッサージを行っていた。最後の5年ほどは症状が悪化し、家族以外は面会できなくなりました。私が最後に見舞いに行ったのは9年ほど前。その頃ですら、ほとんど骨と皮だけの状態でした。晩年は、自動でお風呂に入れる機械も備え付けたと聞きました」
葬儀は近親者のみで執り行われたという。徳洲会幹部が明かす。
「葬儀の喪主は妻の秀子さんが務めた。虎雄さんの遺言によれば、財産については、秀子さんと次男の毅さんで折半することになっており、その方向でまとまっています。遺言にはもう一つの希望として、『遺体を徳之島に埋葬してほしい』と書かれていたそうです」
実際に遺体は故郷の徳之島に運ばれ、21日に偲ぶ会が行われる予定だ。
「その翌日には、亡き母親が眠る墓の隣に土葬されるそうです。徳之島ではかつては土葬が一般的で、これも虎雄さんの生前からのたっての希望だったのだとか」(同前)
稀代の病院王の侘しい晩年だった。