東京都知事選で約15万票を獲得したAIエンジニアでSF作家の安野貴博氏(33)。56人の候補者が乱立する選挙戦で、事前の予想を覆す5位となり、一躍注目を集める存在となった。

 その安野氏が、妻の里奈氏とともに、7月26日に配信された「文藝春秋 電子版」のオンライン番組に出演。出馬のきっかけや選挙戦の舞台裏について語った。

『何言ってるんだろう』と思ったけど…

 ソフトウェアエンジニアとして複数社を起業・経営していた安野氏だけに、都知事選出馬に興味を持った理由も独特だった。

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「何に興味があったかと言えば、システムに興味がありました。ソフトウェアもシステムだし、会社もシステムですが、一番大きなシステムは、社会システムや政治システム。社会をシステムとして見たときに『どうよくできるか』に、まず興味があったんです」

 ただ、都知事選出馬の直接的なきっかけは、妻・里奈氏の一言だった。

「里奈が、道を歩いているときに『貴博、都知事選出なよ』と。言われた瞬間は『何言ってるんだろう』と思ったんですけど、一晩寝て冷静になってみると、2024年の技術と今の東京都政が抱えている課題、長期的なビジョンがないこと、テクノロジーの問題が政治イシューとして認識されていないことなど、そういったシステムと中身の両面で、チャレンジすることには意味があるんじゃないかと、翌朝10時頃に思ったんですよね。それで『出ます』という形で進めていきました」

安野貴博氏(右)と妻の里奈氏 ©文藝春秋

 出馬の話題は「散歩の途中のおしゃべり」くらいのつもりだったという里奈氏。実際に都知事選出馬の意思を伝えられたときは、どう思ったのか。

「さすがに半分冗談だろうと思ってたんですけど、気づいたら300万円の供託金を納めていたので、納めたならしょうがないなと」

話題を呼んだ妻の応援演説の秘密は?

 夫婦の二人三脚で始まった都知事選。なかでも、里奈氏の応援演説は“素人離れしている”とSNS上で3000万回以上閲覧されるなど大きな話題を呼んだ。里奈氏は、その反響をどのように受け止めているのか。

妻の里奈さん ©文藝春秋

「素人のカラオケのようなもので、素人くささがSNSで受けたんだろうなと。家族がちょっと演説が上手いからバズったという仮説です。ただ、ボランティアの方とかがフィードバックをくれるんです。終わった後に『こうやったほうがいい』とか、『(演説中に)携帯を持っちゃいけない』とか。そういう初歩的なところから徐々にレベルアップしていきました」

 ほかにも二人は、オンライン番組では「チーム安野」をどのように作って行ったのか、選挙における双方向性など、多岐にわたる話題について語った。

「文藝春秋 電子版」では、オンライン番組「『チーム安野』の作り方——組織づくりの最適解《都知事選で注目》安野貴博夫妻の秘密に迫る」のフル動画を配信している。